塩分計の話
2-11 塩分計の話
高血圧、脳卒中などが塩分(ナトリウムイオン)の取り過ぎに深い関係があるため、食塩を必要以上にとらないように呼びかけられています。(一日10g以下といわれています。)
また、そういった食品中の塩分量を測定するための測定器もいろいろ販売されています。それらの測定器にはいろいろな原理のものがあり、代表的なものとして次のようなものがあります。
- 塩化物イオンを測定してNaCl換算するもの
- ナトリウムイオンを測定してNaCl換算するもの
- 導電率を測定してNaCl換算するもの
- 水の屈折率を測定してNaCl換算するもの
1章でもでてきましたが、導電率を測ることで(その水にNaClしかはいっていない場合は)塩分濃度が測れます。(Twin導電率計には塩分換算表示機能がついています。)減塩の意味から考えるとNa+イオンを測る方法が一番適しているように思われます。
しかし、一日10gといっても食べた食料全部の塩分量を測定することなど、面倒でなかなかできるものではありません。
関西は薄味で、関東は味が濃いといわれるように食生活は習慣であり、自分自身の味覚が一日10gの食事に比べてどうであるかを自覚し、もし塩分量が多い生活をしているようなら徐々に減塩をして味覚を変える努力をすべきだと思います。
一日10gにこだわらず、一月に一度程度同じ物(例えば味噌汁)を塩分計でチェックし、減塩の効果を見るといったように、気長に努力すべきだと思います。(気長にといっても50年計画など立てないように!)
2-12 その他の導電率計の応用
1. 溶液の濃度測定
導電率測定値から溶液の濃度を決めることができ、しばしば工業的に測定されています。
(例:HCl,HNO3,H2SO4,NaCl,NaOH等)一般的に電解質溶液は高濃度において極大値をとるので、ある導電率値に対応する溶液の濃度が二つ存在することになり、注意を要します。
2. 気体の濃度測定
気体をそのままで、あるいは適当な前処理の後に気体を適当な反応液に吸収させると、気体の成分が化学変化などを生じて、反応液の導電率が変化します。この変化を検知することにより、気体中の成分濃度を測定する事ができます。二酸化いおう(SO2)の大気汚染を測定する装置はこの方式を使っています。(例:CO2、CO、CH4、HCl、H2S、NH4等)
3. 導電率滴定
測りたい物質Aを含む溶液に、Aと反応する物質Bの溶液(濃度がわかっているもの)を少しずつ加えると、AとBが反応して導電率が変化します。さらにBを加え、これ以上加えても反応がおこらない点(等量点)以降は、加えたBの導電率の増加による変化となります。等量点に達するまでに加えたBの量から、Aの量を測る方法を導電率滴定といいます。
4. イオンクロマトグラフィー
水の中に1種類の物質(NaCl等)しか入っていない場合は、導電率を測ることでイオン濃度を知ることが出来ると説明しました。
いろいろな物質が混じっている溶液の導電率を測っても、その値から各イオンの濃度を知ることは出来ません。
しかし、世の中にはそれを可能とする方法があります。
それがイオンクロマトグラフィーです。
単独のイオンなら導電率で濃度を知ることが出来るのですからいろいろなイオンが混っている液体をイオンごとに分けて測ればよいわけです。実際には、イオン交換体と呼ばれる物質の中に特定の液とともに測定したい液を通過させます。ここで一時的に測定液の中のイオンが取り込まれ、時間とともに出ていきます。このときイオンの種類によって取り込まれている時間が違うため、出てくるイオンは種類ごとに分離された形で出て来ます。出て来るまでの時間がイオンによって決っていますので、導電率と時間とで、特定のイオン濃度を知ることが出来ます。
イオンクロマトグラフィーは多種の微量なイオンを測定できるので、公害、食品、臨床、工業、医薬品など広い分野に使われています。
参考資料
JIS K0101,K0102
日本化学会編“化学便覧,基礎編改訂3版”(1984)丸善
玉虫伶太“電気化学”(1967)東京化学同人
喜多英明、魚崎浩平“電気化学の基礎”(1983)技報堂
加藤辨三郎“日本の酒の歴史”(1977)研成社
岩波科学百科(1989)岩波書店
岩波理化学辞典第4版(1988)岩波書店






