下図は蛍光法DO検出部を示した模式図です。この方法では、青色LED(発光ダイオード)の光で励起された蛍光物質より発せられる蛍光が、透過してきた酸素により消光(クエンチング)される現象を利用して溶存酸素濃度を算出します。すなわち、DO濃度が高いほど消光現象が強くなるため検出器(受光ダイオード)で検出される蛍光が少なくなります。酸素(DO)は、シリコーンなどのDO透過層を経て発光材料層に入ってきます。この発光材料層にはピレンなどの材料が含まれており、中央部の青色LEDから発せられた青色光を受けて励起され蛍光を発します。この蛍光は、発光材料層に達した酸素(DO)の量に応じて消光され、消光されなかった「蛍光の残光」が受光ダイオードによって受光されます。受光ダイオードには、青色フィルターを有するものと赤色フィルターを有するものの2種類が用いられ、互いに引き算をして「蛍光の残光」のみを検出し、DO濃度を算出します。この蛍光法では、原理的にDO濃度が低い方が高感度となり、DO濃度が高くなるとノイズなどのため精度が悪くなります。なお、青色LEDには発光波長360nm程度のものが用いられ、受光ダイオードには0.001秒程度の800nm前後の光を検出できるものが用いられています。
当社では、現場設置型(工業用途)の装置で本方式を採用したものがあります。蛍光法によるDO測定は比較的新しい方法であり、内部液の交換が不要であるため現場測定用に普及し始めています。
蛍光法DO検出部の模式図
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