新型の炭素・硫黄分析装置10月1日発売

|   ニュースリリース


自動炭素・硫黄分析装置「EMIA-Expert」

“ガンガン測れる” 清掃せずに200回連続測定を実現
一日で3時間30分削減 メンテ作業を効率化

当社は、鉄鋼・セラミックスなどを燃焼させて炭素・硫黄濃度を1ppm(100万分の1)単位で精密分析する自動炭素・硫黄分析装置「EMIA-Expert」を10月1日に発売します。 
本製品は、燃焼炉内に発生するダスト(*1)が分析部に溜まりにくい装置機構を開発し、清掃せずに200回(当社従来比4倍)連続分析できます。また、装置内部の清掃作業も30分以内(同2分の1)で行えます。製鉄所では24時間体制で品質検査が実施されており、本製品の導入で一日の清掃作業を最大3時間30分削減できる(*2)と期待されています。鉄鋼業界では自動車用の薄鋼板やエネルギー用の鋼管など高級鋼領域を中心に競争が激化しており、厳密な品質管理を支えるとともに、製造現場の効率化にもつながる装置を提供することで競争力の向上に貢献します。

(*1)ダスト:塵状の物質で分析部やフィルターに溜まることで分析精度に影響する。ダストの清掃はブラッシングや超音波洗浄など手作業で行われ、長時間の清掃作業が課題とされている。
(*2)一日200回分析した場合、清掃作業が 当社従来製品4時間/本製品30分 として算出。

 

自動炭素・硫黄分析装置「EMIA-Expert」について

自動炭素・硫黄分析装置「EMIA-Expert」は、当社従来製品の高い分析精度はそのままに、お客様が日常的に行う装置内部の清掃などメンテナンス作業量や時間を、大幅に削減できると期待されています。
鉄鉱石から純度の高い鉄を精錬する工程(転炉)では、炭素・硫黄分析装置1台毎に一日200回の品質管理の検査が実施されていると言われています。製鉄所のお客様は、検査を繰り返す過程で、ダストによる分析精度の低下を防ぐため、燃焼炉のブラッシングや超音波洗浄などの清掃作業を一日に4回程度、合計4~5時間かけて行っています。
本製品は、装置機構を一新して装置内にダストが溜まりにくい構造とし、かつ部品点数を6割削減して清掃作業を簡略化したことで、“清掃に必要な作業時間が一日30分”で済みます。
近年の鉄鋼業界では、自動車用の薄鋼板やエネルギー用の鋼管など高級鋼領域で、厳密な品質管理とともに、製造工程の効率化による競争力強化が追及されています。当社は高効率な品質管理が期待される分析装置を提供することで、ものづくり競争力の向上に貢献します。

 

鉄鋼の製造工程について

天然資源である鉄鉱石を還元・溶解し、鉄分を取り出します。この鉄鉱石から取り出されたばかりの鉄には約5%という多量の炭素が含まれており、炭素含有量が多いと鉄は硬くなり、同時にもろい性質を持ちます。反対に、炭素含有量が少ないと柔らかい鉄になります。一般的に、炭素含有量が2%以下で「鋼」、2%以上で「鉄」と区別されます。用途によって炭素の含有量を変えて作られ、例えばビルの鉄骨には炭素0.2%程度の強靭な鋼を使いますが、自動車の骨格をなす部材には、20~100ppmとわずかな炭素が含有する柔らかな鋼も使われます。これらのことから、用途に合わせて炭素含有量などの成分を精密に管理することが求められます。

 

自動炭素・硫黄分析方法について

炭素・硫黄分析では、分析したい試料1グラムを採取し、酸素が充満している炉の中で加熱・燃焼させます。この時、鉄鋼中の炭素が発生する二酸化炭素となって抽出されるので、その発生量を専用のガス検出器で検出することで、鉄鋼中の炭素含有量を測定します。鉄鋼の加熱・燃焼には、電磁調理器と同じ原理である高周波を用います。

 

自動炭素・硫黄分析装置「EMIA-Expert」の特長

  1. 清掃せずに200回連続で分析できる
    ダストが燃焼炉に溜まることを防ぐ、新たな自動清掃機能を開発しました。1回の分析ごとに自動クリーニングを施し、燃焼炉内に溜まるダストを大幅に削減します。
  2. 清掃時間 が当社従来比半分の30分
    最も清掃が必要と言われている燃焼炉の部品点数を6割削減し、構造を簡素化しました。燃焼炉内も凹凸の無いフラット構造とし、拭き作業などで清掃できます。
  3. 新規ナビゲーションシステムを搭載
    分析試料に合わせた適切な分析条件を自動設定する分析ナビやトラブル時の復旧を支援するトラブルシューティングナビなど、新規ナビゲーションシステムを搭載。

 

開発担当者コメント

お客様のご厚意により、装置がどのように使用され、何が求められているのか改めて直接訪問確認を行い、真の要求事項の抽出をおこないました。一つひとつの課題と要求に応えるため、ハードウェアとソフトウェアのどちらもフルモデルチェンジを行い、お客様の要求に応える性能と扱いやすさを実現しました。今後も継続し開発を進め、お客様のニーズを先取り提案できる製品を出し続けていきます。

 

主な仕様

測定方式非分散型赤外線吸収方式
試料質量1グラム
測定範囲炭素0.6 ppm ~ 10.0 %
硫黄 0.6 ppm ~ 1.0 %
測定時間約40秒
外形寸法幅500mm×奥行725mm×高さ710mm
質量(本体)約130キログラム
言語対応2ヵ国語(日本語、英語)