ロシアにソフト拠点を設置

|   ニュースリリース

当社は、ソフトプログラムを開発する拠点を、ロシア(モスクワ市内)に9月1日に開設する予定です。
当社グループ企業ジョバンイボン社(フランス)製を柱とした半導体分野向け計測機器のソフトウェア開発を手がけます。将来的には、当社グループの理化学分野の全製品を対象にした次世代統合ソフトウェアを手がける、同分野製品群のソフト開発の中核拠点に位置づける方針です。

【背景】
ロシアでは、宇宙産業のために優れた教育機関が整備されており、優秀な人材が輩出されてきました。東西冷戦の終結後の現在においても、その高度な情報処理技術が認知されています。携帯端末の手書き文字認識ソフトやコンピュータの暗号技術、さらにCADソフトの多くは、ロシア人エンジニアが開発もしくは参画しています。技術者レベルが高いとの評が、日本国内で報じられている中国やインドと比較しても、全体の技術レベルが高いというのが世界的な認識で、欧米企業による大量雇用の動きがあります。

【拠点設置の意図】
当社海外子会社のジョバンイボン社(本社・ロンジュモー市,社長・G.ハヤット)の計測機器分野の主力製品であるプラズマ発光分析装置(ICP)や、当社と共同開発の超薄膜分析装置(UT-300)といった、次世代半導体市場に対応する計測機器は、分析理論が複雑な分、キーとなるソフトウェアも高度なレベルが要求されます。

作業期間のスピードアップや作業効率の向上を目的に、このたび、当社の"ロシア拠点"を設置し、優秀なロシア人エンジニアの確保を行うこととしました。管理面で、当社のソフト開発のノウハウが持ち込まれることによって、より製品の納期面や完成度が上がると期待しています。また、技術者教育という断面でも、組織的有機的に行うことにより、個々人の高い技能が組織化され、一層向上すると期待しています。

当社主力製品の自動車排ガス測定装置において、自動車産業の中心である米国、ならびに、技術力と信頼性で地位をもつドイツの両国に、同製品群のソフト拠点を設け、グローバルなソフト開発体制を敷いています。ここに、今回の理化学機器群を中心としたロシア拠点が加わることになります。

最近の分析計測機器は、どのようなデータをどのような形で提供できるかという、機器単体ではなくソフトの重要性が増しており、ますますその傾向が大きくなると予想しています。
これら米国.ドイツ.ロシアのソフト開発部隊を、当社(日本)の"ソフト開発部門"が統括する体制を確立し、グループ全体としてのグランドデザイン構築を目指します。


参考資料

  • 駐在員事務所 概要

    1.名 称:株式会社 堀場製作所 モスクワ駐在員事務所
    2.所 在 地:ロシア連邦 モスクワ市内(詳細場所未定)
    3.事 業 内 容 :分析装置・機器ソフトウエア開発
    4.開設予定時期:2001年 9月1日
    5.所 長:当社 生産センター ソフト開発部 部長 酒井 俊英(非常勤)
    6.投 資 額:約4,000万円
    7.人 員 数:当初10名前後(2年後に20名を計画)
     
  • 用語説明
    • 次世代半導体市場に対応する計測機器
      <プラズマ発光分析装置や超薄膜分析装置>
      プラズマ発光分析装置(ICP:Inductively Coupled Plasma‐Atomic Emission Spectrometer)
      物質の炎色反応を利用し、その光から物質中の元素の種類と量を分析する装置。
      極微量の多元素を一斉に分析できるのが特徴。
      アルゴンをプラズマと呼ばれる高温の状態にして、この熱で原子を発光させる。
      元素はそれぞれ特有の色で発光するので、この光の色(波長)と強さから、種類と量を分析する。
      半導体市場では材料中の不純物分析や工場廃液等の環境測定に利用されている。
    • 超薄膜分析装置(UT-300)
      半導体の超LSIやフラットパネルディスプレイ(FPD)の膜の厚さおよび特性を測る装置。
      1nm(ナノメータ)の超薄膜計測や、今まで電子顕微鏡で観察するしかなかった種類の薄膜も計測可能。ジョバンイボン社は分光分析技術・薄膜計測エリプソメータ技術では世界トップであり、本製品の測定部には同社の分光分析技術が活かされている。