
微生物培養
インライン菌体濃度測定を用いた大腸菌発酵におけるサンプリングの軽減およびプロセス再現性の改善
本微生物発酵において、菌体濃度や細胞増殖率が大変重要なプロセス管理要因となります。微生物発酵では、菌体の性質がよく知られている大腸菌を主に使用して行われています。微生物の増殖速度は、動物細胞と比較して速いため、プロセス全体の発酵状態を把握するためには、頻繁なサンプリングが必要です。また、一般的に、発酵運転の終了時には細胞集団の濃度が非常に高いので、発酵のエンドポイントを最適化することが難しいこともあります。
従来、微生物発酵における菌体濃度の測定は、オフライン方式で吸光度測定が行なわれています。オフライン吸光度測定は、煩雑な上に精度が悪く、さらに試料サンプリングのために培養プロセスを汚染する危険があります。また、試料を希釈して測定する必要があり、測定に時間を要するため、的確な培養プロセスの完了を最適化するのを困難にしています。
- ラボの分光光度計に10mmのセルに発酵槽から採取したサンプルを入れて計測。値は2.75AU
- そのサンプルを100:1に希釈
- 10mmのセルに採った希釈サンプルを分光光度計で測定。値は0.459AU
- 報告されたOD値は46OD (0.459 x 100)
この方法だと、サンプリングと手作業の希釈技術の両方に対する依存度が極端に高いのが明らかです。希釈係数の多くは100:1を超えるため、しばしばこの希釈方法はオフラインのOD600値のエラーを決定する支配パラメータになります。
微生物発酵では、細胞の濃度は指数関数的にエンドポイントまで達します。従って、微生物発酵工程のリアルタイム制御には、広いダイナミックレンジが必要です。しかし、精度が高く、正確で、直線性があり、なおかつ測定レンジの広いセンサはこれまでありませんでした。
従来、細胞濃度はOD600値のようなオフラインラボの細胞濃度測定で測定されています。残念ながら、特に高濃度におけるラボ方式の精度が比較的低いことや、オフライン測定の欠点である、データ取得までに長時間を要することにより、ラボ方式のみでリアルタイムに工程を制御するのは実際のところ不可能な状態です。OD600値が高い時オンラインで大腸菌濃度を測定するために、ランプや発光ダイオード(LED)のような非干渉光源(インコーヒレント光)の吸光度測定器を使用するなど、様々な試みがなされてきました。しかし、この種のセンサには、限られた性能とダイナミックレンジしかありません。
以上のように、インラインで菌体の濃度を計測することは、工業的な製造段階におけるプロセス管理上、非常に大切です。
