個体間器差低減マスフローモジュール

2018年6月18日

赤土 和也 (執筆) /カテゴリ:テクノロジー


【概要】

最先端の半導体プロセスにおいて,ナノレベルの微細化プロセスの進化とともに,デバイスの生産性のさらなる向上が不可欠である。そういった要求を背景に,半導体プロセスに使われるマスフローコントロールモジュールには,プロセスガスの流量精度および個体間器差の向上,圧力変動の影響を受けにくい流量制御,不具合発生前の早期異常検知といった機能が求められている。

【CRITERION D500シリーズ

当社では圧力式マスフローコントロールモジュールD500を開発した。D500は,流量計測部に層流粘性流量域における差圧流量計測方式を採用している。そのため,プロセスガスにおいて高精度な流量計測と幅広い流量域での流量制御が実現可能である。また,プロセスガスの流量変化を診断するG-LIFE機能を搭載しており,プロセス中に判定することが出来るようになった。これにより,マスフローコントロールモジュールの故障による半導体ウエハの仕損を最小限に抑えることができ,次世代プロセスに要求される自己診断機能を有したモジュールとなっている。

 

【プロセスガス精度保証と器差軽減に向けたアプローチ

半導体製造プロセスで使用されるガスの特性データは,実際のプロセスガスを用いてROR Systemにて取得している。ROR Systemの測定原理は,理想気体の状態方程式を応用したもので,真空排気したチャンバー内に,制御したガスを通し,チャンバー内圧の圧力上昇速度から流量に換算し計測している。この手法で取得したプロセスガスの流量特性データを圧力と流量で3次元マッピングしている。このプロセスガスに基づいてマッピングされたガスデータをD500本体に持たせることで,高精度な流量計測が実現でき,プロセスガスで設定値に対して流量精度±1%を保証することができている。上記にリストリクタの構造を示す。リストリクタは,スリットを形成したシートを積み重ねた積層構造から成る。このスリットの数を増減させることで,D500の流量レンジが決められる。ガスはリストリクタ中央部から入り,放射状に出ていく構造となっている。特にD500においては,リストリクタの流路形状を曲線にし,従来モデルと比べ流路長を最大化した。そのことにより,層流特性が改善され,プロセスガスにおける流量特性の器差を小さくすることに成功している。

【マルチレンジ・マルチガスの応用】

上記の通り、個体間器差低減しつつ、更にユーザフレンドリーを追求したマルチレンジ・マルチガスへの応用を行っている。従来モデルではガス仕様により校正ガスが異なるため実現できなかった顧客でのガス仕様変更(以下マルチガス・マルチレンジ機能)が,D500では前述のリストリクタの層流特性の改善により,校正ガスの単一化が実現できマルチガス・マルチレンジ対応が可能となった。D500では顧客自身で必要とするガス種や流量レンジをパソコン,専用ソフトを用いて容易に変更ができる。そのため,従来のMFCでは,仕様ごとに在庫品を保有する必要があったが,D500では在庫品を大幅に削減できるようになり顧客メリットを追求したモデルとなっている。

 


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