プロセスガス精度向上と器差低減

2018年9月18日

赤土 和也(執筆)/ カテゴリ:テクノロジー


【概要】

最先端の半導体プロセスにおいて,ナノレベルの微細化プロセスの進化とともに,デバイスの生産性のさらなる向上が不可欠である。そういった状況を背景に,半導体プロセスに使われるマスフローコントロールモジュールには,プロセスガスの流量精度および個体間器差の向上,圧力変動の影響を受けにくい流量制御,不具合発生前の早期異常検知といった機能が求められている。本稿では,それらの要求に対応すべく開発したマスフローコントロールモジュール『CRITERION』(クライテリオン)D500シリーズについて紹介する。

【プロセスガス精度向上と器差低減に向けたアプローチ】

半導体製造プロセスで使用されるガスの特性データは,実際のプロセスガスを用いてROR System *にて取得している。ROR Systemの測定原理は,理想気体の状態方程式を応用したもので,真空排気したチャンバー内に,制御したガスを通し,チャンバー内圧の圧力上昇速度から流量に換算し計測している。Figure 1 にリストリクタの流量特性を示す。上記手法で取得したプロセスガスの流量特性データを圧力と流量で3次元マッピングしている。このプロセスガスに基づいたマッピングされたガスデータをD500本体に持たせていることで,高精度な流量計測が実現でき,プロセスガスで設定値に対して流量精度±1%を保証している。Figure 2 にリストリクタの構造を示す。リストリクタは,スリットを形成したシートを積み重ねた積層構造から成る。このスリットの数を増減させることで,D500の流量レンジが決められる。ガスはリストリクタ中央部から入り,放射状に出ていく構造となっている。特にD500においては,リストリクタの流路形状を曲線にし,従来モデルと比べ流路長を最大化した。そのことにより,層流特性が改善され,プロセスガスにおける流量特性の器差を小さくできた。

1
ROR SystemRate of Riseの頭文字
   基準容積内の圧力上昇率を測定し質量流量を計測する手法

 

      Q ∝(ΔP/Δt)・V/T……………………1

      Q:流量 P:上昇圧力 Δt:上昇時間

      V:チャンバー内容積 T:温度

 【マルチガス・マルチレンジの対応】

従来モデルではガス仕様により校正ガスが異なるため実現できなかった顧客でのガス仕様変更(以下マルチガス・マルチレンジ機能)が,D500では前述のリストリクタの層流特性の改善により,校正ガスの単一化が実現できマルチガス・マルチレンジ対応が可能となった。Figure 3 にマルチガス・マルチレンジ機能について示す。D500では顧客自身で必要とするガス種や流量レンジをパソコン,専用ソフトを用いて容易に変更ができる。そのため,従来のMFCでは,仕様ごとに在庫品を保有する必要があったが,D500では在庫品を大幅に削減できるようになった。


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