自己診断機能搭載マスフローモジュール

2018年10月15日

赤土 和也(執筆)/ カテゴリ:テクノロジー


【概要】

近年,半導体プロセスの微細化,ウエハの大口径化の流れに伴い,ガス供給システムに対して高性能化が求められており,圧力式マスフローコントロールモジュールD500を開発した。D500は,流量計測部に層流粘性流量域における差圧流量計測方式を採用している。そのため,プロセスガスにおいて高精度な流量計測と幅広い流量域での流量制御が実現可能である。また,プロセスガスの流量変化を診断するG-LIFE機能を搭載しており,プロセス中に判定することが出来るようになった。これにより,マスフローコントロールモジュールの故障による半導体ウエハの仕損を最小限に抑えることができ,次世代プロセスに要求される自己診断機能を有したマスフローコントロールモジュールとなった。

【自己診断機能(G-LIFE*1)の搭載】

Figure 1 に,G-LIFEの診断方法を示す。G-LIFEは制御時から0%流量設定を与えた際の流量出力の立下りにおける積分値より,気体の状態方程式を用い内部容積を算出している。算出した内部容積と予め取得した初期の内部容積とを比較することで,数秒以内に信頼性の高い再現性の検定を行うことができる。Figure 2 に,G-LIFEの実施例を示す。D500は外部の基準器を別途設ける必要がなく,インラインでのプロセス中の検定が可能である。プロセス中の流量の立下りを利用してG-LIFEを実行することで,初期状態からの変化を診断でき,プロセスの妥当性判断,トラブル予知が行えるようになりウエハの仕損や装置のダウンタイムの低減が可能となる。

*1: G-LIFE:Gas Law check of Integrated Flow-restrictor Equation

  

【圧力変動特性】

従来の一般的なサーマル式のMFCは上流側の圧力変動に対する影響を受けやすかった。そのため,従来のガス供給システムでは圧力調整器を用いることで他のガスラインからの圧力変動の影響を低減している。しかし,ガス供給システムにおいてはコストダウンのためのコンパクト化・小型化・軽量化が求められている。D500は流量計測部をコントロールバルブの下流側に設置されているため,供給圧力変動による影響は受けにくい上に,変動を緩和できる新開発の制御アルゴリズムを導入したことにより,安定した流量制御を実現している。Figure 3 にD500への圧力変動に対する流量出力の挙動を示す。10Psiの圧力変動下でも,流量設定値に対して±1%以下の変動影響である。そのため圧力調整器の無いガス供給系においても使用可能である。D500では,前記の圧力変動に対する改善に加え,ガスの供給圧力を常に監視する圧力センサを搭載していることで,Figure 4 に示すように,ガスラインの圧力調整器および圧力計が不要となり,シンプルなガス供給系の構築とコストダウンに寄与できる。

  


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