ベストセラーMFC SEC-Z500X Series

2018年11月28日

西川 正巳(執筆)/ カテゴリ:テクノロジー


【概要】

半導体デバイスの微細化,高集積化に伴い,ガス流量・液体材料の供給量に対する高精度化や信頼性向上への要求が高まりつつあり,流量計測・制御機器であるマスフローコントローラの高精度化,信頼性向上が必要になる。弊社のSEC-Z500Xシリーズはリリース以来10年以上経過したベストセラーモデルで、未だに市場の強いデマンドに支えられリリース以来の累計50万台以上の出荷実績を誇る。今回はそのZ500X Seriesの4つの特徴を紹介する。

【SEMIスタンダード(2787.1)すべてに対応できる外形寸法】

MFCのガス接続方法は大きく分けて,面シールねじ込み継手(VCR)と集積型接続(IGS)に分けられる。面シール継手では,入口側継手先端から出口側継手先端までの寸法が106 mmのコンパクトサイズと,124 mmのスタンダードサイズの2種類がある。また,集積型接続においても接続穴間寸法79.8mmで本体幅37.6mmのコンパクトサイズと,接続穴間寸法92 mmで本体幅28.5mmのスタンダードサイズの2種類があり,これら4種類の接続方法はすべて半導体製造装置に関する国際規格SEMIスタンダード2787.1により規格化されている。もちろんZ500X Seriesはこれらの規格に全て適合している。

【マルチレンジ・マルチガス対応】

従来のMFCは限定したフルスケール流量とガス種に調整されており,5 SCCM~10 SLMの流量範囲とガス種の組み合わせで約150種類もの仕様を製作している。従来は仕様を変更する場合にはMFCを一旦お客様から引き取り,バイパス及びバルブを交換するか流量調整による変更を行う必要があった。SEC-Z500Xでは,専用ソフトで検量線データを書き換えることにより,お客様自身がMFCのガス種,フルスケール流量を自由に変更できる。半導体プロセスで使用するガス種を実際に使用するMFCと同型式のMFCに流し,実ガスによる検量線データと応答定数を専用ソフトに蓄積し,実際に使用するMFC本体にインストールすることにより,実ガスでの流量精度の向上と広範囲における流量制御を可能にしている。この方式により11種類のMFCで5SCCM〜10 SLMの流量範囲に対応できる。お客様自身がMFCのガス種,フルスケール流量を自由に変更できるマルチガス,マルチレンジ対応のMFCを使用することは,プロセス条件の変更にも容易に対応できるだけでなく,お客様が管理している予備品の大幅な削減にも繋げることができる。



【高精度流量保証】

MFCの流量制御範囲も成膜プロセスの多様化に伴い,低流量域からフルスケール流量域まで広範囲での精密流量制御が要求されている。従来のMFCの流量精度保証は,士1%FS.(フルスケール)であった。このため,低流量域で使用する場合の流量精度は悪くなり,高精度に流量制御を行うためにはフルスケールの異なった2台のMFCを並列に配置し,制御する流量によって使用するMFCを選択する必要があった。SEC-Z500Xでは,高精度流量計Molbloc(DHl製)による流量調整と多項式による多点流量補正により,100%〜25%の流量範囲で土1%S.P.(セットポイント),25 %〜2 %で0.25 %F.S.(フルスケール)の流量精度を保証しており,低流量域においても高精度な流量制御が可能になっている。この高精度流量保証により,1台のMFCを広範囲でカバーすることができるようになっている。

【全領域での応答速度高速化】

半導体プロセスにおけるガス制御では立ち上がり応答速度のばらつきは,直接プロセスのばらつきに繋がる。従来のMFCでは,フルスケール付近への立ち上げで1秒以下の応答速度を実現できているが,低流量域への立ち上げの場合,応答速度が遅くなり応答のばらつきを生じる場合がある。SEC-Z500Xは,すべての設定流量において高速応答であり,ラインごとの応答のばらつきを抑えている。一般的なMFCは, PID係数が 1つもしくは,設定流量にゾーンを設けそのゾーンとにPID係数を持たせている。この方法では,特定の流量設定値での応答速度を速くすることはできるが,すべての設定流量に対して1秒以下の実現は難しい。SEC-Z500Xに採用したPID制御は,制御したい流量値とガス物性値に合せてPID定数を連続変化させるアルゴリズムを採用し,高速応答性能の大幅な向上を実現している。ガス種,フルスケールを変更した場合でも安定した応答性能を維持している。この性能は,マルチガス,マルチレンジ対応にはなくてはならない機能であり,プロセスの安定性向上に大きく貢献している。

【トラブル予知モニタリング機能内蔵】

ガス系のトラブルシューティングを効果的,効率的に実施するのは,従来のアナログMFCからの情報では困難と言える。SEC-Z500Xは,デジタルでの通信機能を備えており,このデジタル通信によるMFCのコンディション情報をモニタリングすることが容易に行える。コンディション管理することにより, MFCが制御不能になってからMFCの交換などのメンテナンスを実施するような今までの方法ではなく,制御不能に至る前にMFCの変化を捉え,計画的にメンテナンスを実施することが可能である。これにより,ガス制御システムの突発的なダウンを未然に防ぎ,システム稼働率の向上に繋げられる。SEC-Z500Xが有する代表的なアラーム機能として,ピエゾアクチュエータバルブへの印加電圧が制御に必要な闌値を超えた場合に,アラームを出す機能を内蔵している。

【おわりに】

SEC-Z500Xの特長に挙げた高精度で高速な流量制御技術,及びマルチガス,マルチレンジによるコスト削減は,今後ますます進化する半導体プロセスの発展に大きく寄与することを確信しており、弊社の販売実績がそれを裏付けている。


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