薄膜太陽電池向け 複合自動検査装置を開発

2009年12月 1日


世界初 4項目全て自社センサー搭載
エネルギー変換効率の安定化に寄与

当社は、薄膜太陽電池生産ライン向けに全自動検査装置「FF-2000」を開発しました。世界で初めて、世界トップシェア30%を誇るラマン分光計 (*1) をはじめ、分光エリプソメーター (*2) や反射式膜厚計 (*3) の全てに自社センサーを搭載し、太陽光パネルの光吸収率を左右する膜厚や膜質など全4項目を1台で検査します。これらの検査を通じて、薄膜シリコンやCIGS型 (*4) といった薄膜太陽電池の変換効率の安定化や生産コスト削減に寄与し、太陽電池の発電利用の拡大につながると期待しています。12月2日発売予定です。

太陽電池分野の状況

クリーンエネルギーの一つとして、太陽電池に対する関心が増しており、日本や欧米での普及策も追い風となって、国内出荷と輸出を合わせた7月〜9月総出荷量は過去最高の約26万キロワットを記録し、世界的に太陽電池に対する需要が高まっています。太陽電池の種類は、主に結晶系と薄膜系に分類されます。現在は変換効率が高く、製造方法が確立された結晶系太陽電池が主流となっています。しかし、高い生産コストや不安定なシリコン供給など課題があり、低い生産コストや材料の安定調達を強みとする、薄膜系の太陽電池が注目され、これが太陽電池の普及に弾みをつけています。一方、薄膜系においてもエネルギー変換効率の向上という課題があり、薄膜材料や製造方法の研究開発とともに、生産現場でも光吸収率を左右する膜厚や膜質などの、プロセス・品質管理の重要度が増しています。

当社の薄膜検査装置での取り組み

当社の薄膜検査装置は、1997年から液晶パネルメーカー向けに開発・販売し、分光エリプソ技術で世界シェア70%を誇る半導体事業の主力製品です。大型・精密という市場ニーズに対応しており、第8世代パネルも精密検査が可能な装置ラインアップを提供しています。このたび、従前の液晶パネル用検査装置のセンサー組込み技術や装置設計などのノウハウを生かし、薄膜太陽電池向けに液晶パネルの第5・第8世代相当の自動検査装置を開発しました。分析・計測機器メーカーの強みとなる測定ノウハウや技術サポートを、アジア・欧米の生産ライン向けに提供し、3年で2倍のペースで成長すると見込まれる同市場の生産性向上、品質向上に貢献します。

今回の新製品について

生産ラインにおいて、膜厚や膜質などを検査することで、品質の要となる変換効率の管理に利用されます。世界では唯一、センサーの供給から、システム開発などの装置設計、そして、技術サポートまでの全てを自社で賄えるため、顧客の要求に合わせた最適対応が可能です。また、①太陽電池では研究開発にも利用されるラマン分光計(膜質)をはじめ、②分光エリプソメーターや反射式膜厚計(膜厚)などのセンサーを、1台に搭載することで、同時に複合検査が可能となり、徹底した品質管理の需要に対応します。

新製品 薄膜全自動検査装置 特長

  • 1台で自動複合検査
    ラマン分光計(膜質)、分光エリプソメーター・反射式膜厚計(膜厚)の自社センサを搭載。1台で同時に複合検査が可能で、かつ複数装置の設置よりも生産時間の短縮に有効。
  • 大型サイズ(2.2 m×2.6 m:液晶第8世代相当)対応
    液晶パネルの薄膜自動検査装置の技術で、大型の基板測定用マッピングステージを開発。基板サイズ:1.1 m×1.3 m(液晶第5世代)~2.2 m×2.6 m(液晶第8世代相当)にも対応。

 

参考資料

用語解説

(*1) ラマン分光計
物質にレーザーのような単色光を照射し、散乱した光を分光器に取り込んで観測する。得られた波長により物質の構造評価や不純物の特定などを行うことができる。今回の装置では、シリコンの結晶化率を非破壊で測定することが可能で、CIGS型太陽電池の組成分析にも対応する。

(*2) 分光エリプソメーター
太陽電池パネルに偏光した白色光を照射し、偏光の変化を分光して検出することで、多層膜の各層についても膜厚や膜質のモニタが可能。界面層、ラフネス層(テクスチャ)をはじめ、膜厚や膜質を管理することで、太陽電池の変換効率の管理が可能。

(*3) 反射式膜厚計
太陽電池パネルに白色光を照射し、膜の表面裏面での反射光の干渉を利用して膜厚を検出することで多層膜の各層についても膜厚のモニタが可能。膜厚を管理することで、太陽電池の変換効率の管理が可能。

(*4) CIGS型太陽電池
銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)という4種類の金属を素材に用いた金属化合物の薄膜型太陽電池。軽量・低コストでシリコン系より発電効率が高い。また幅広い波長の光を吸収するため面積当たりの発電量が大きく、研究開発が盛んに進められている。