ぶんせきコラム

血球はどうやって
計られているの?


みなさんも健康診断や体調が悪いとき、病院で血液を採取されたことがあると思います。
今回は血液がどのようにして計られているかをお伝えします。

血液のなかには、いったい何が存在しているのしょうか?

血液中には酸素や二酸化炭素といったガスの他、ホルモンなどのタンパク質、カルシウムイオンやナトリウムイオンといわれる電解質がたくさん存在しています。また、赤血球、白血球、血小板といった、一般に「血球」と呼ばれるものが存在し、白血球はさらにリンパ球、単球、顆粒球の3つに分類することができます。

ときどきテレビドラマなどで、「白血球が増加している」とか「血小板が少ないから輸血を」といったシーンがありますが、これら血球の数はどのようにして数えられているかをご存知ですか?

日本では1975年くらいまで、ガラス計算板と呼ばれるものを用い、顕微鏡で一つ一つ数えていました。この方法はとても手間がかかる反面、必ずしも正確ではありませんでした。最近では、高度医療機器の開発にともない、各種病院検査でも自動化が進められて、血球計算についても自動血球計数装置が用いられることが多くなっています。

それでは、このような装置ではどうやって血液を計っているのでしょう?

血球も細胞の一種で、「あまり電気を通さない」、つまり電流が流れにくい性質を持っています。そこで、電流の流れやすい食塩水を容器に入れ、一定の電流を流しておきます。容器にはごく小さな穴が開いていて、そこからチューブで中の食塩水を一定量吸引できるようになっています。その容器に血液を、計りやすくするために一定の割合で薄めて入れます。

チューブから容器の中の食塩水と薄めた血液を吸引すると、容器の小さな穴を血球が1つずつ通ります。このとき、血球は電気を通さないので、電気の抵抗が生まれます。この抵抗を電気信号として数えることで、血球の数が分かる仕組みになっているのです。

血球には白血球、赤血球、血小板というようにいくつかの種類があり、それぞれ特徴ある性質を持っています。たとえば、白血球は白く大きな球形、赤血球は赤く丸いクッションのような形、血小板は小さく破片のような形をしている、といったぐあいです。

自動血球計数装置では、それぞれの血球が小さな穴を通るときの電気信号の特徴から、血球の種類も見分けています。

さて、血液中にある血球は、簡単に種類を見分けることができるくらい大きさも形も違っているのですが、その造成過程をさかのぼると、すべては骨髄中に存在する「幹細胞」と呼ばれる1種類の細胞にいきつきます。人体のメカニズムのすごさを感じずにはいられないですね。