ぶんせきコラム

半導体素子を支える
マイクロアナリシス


最先端の研究装置やコンピュータから、身のまわりの家庭用電気製品まで、多くのものに電子回路が組み込まれています。これらの機器に欠かせないのが IC(集積回路)などの半導体素子。今回は、その半導体材料と分析についてのお話です。

半導体の材料としてもっとも多く使われているのがシリコン(ケイ素)です。

シリコンは地球上では酸素に次いで多く存在している元 素で、身近な石ころにもかなりの割合で含まれています。ただし、 これは酸素と結びついて存在しているので、半導体に使うためには両者を引き離しシリコン単体にする必要があります。しかも、IC で使われているシリコンは、99.999999999%(イレブン・ナイン)という超高純度の単結晶構造でなければなりません。純金でさえ 99.99%の純度であることを考えると、半導体材料の要求度がいか に高いものかがわかります。

このように細心の注意をはらって精製されるシリコン結晶ですが、IC に加工するまでに何かの原因で異物が付着してしまうことがあります。このような場合、その異物が何かを特定し、どのプロセスで混入したのかを突き止めなければなりません。

このようなときに役立つのが「マイクロアナリシス(微小分析)」技術です。

「マイクロアナリシス」の一例として、「エネルギー分散形X線分 析装置」では電子顕微鏡と組み合わせて、言葉どおり顕微鏡レベルで異物の元素分析が可能です。

この装置は、電子顕微鏡から放出される電子線が測定対象にあたったとき、その物質から放出されるX線を測定します。

このとき放出されるX線のエネルギーの大きさが、物質を構成している元素によって異なるため、異物が何であるかを知ることができるのです。異物の種類がわかれば、どのプロセスで混入したのかを推測することが容易になります。

研究用途で使われることも多い「マイクロアナリシス」ですが、このように品質の高い製品を生み出すためにも役立っているんですね。

HORIBA ONLINE の「オンライン分析センター」には、今回紹介した「エネルギー分散形X線分析装置」をはじめ、正確で効率的な分析を行うためのノウハウが満載です。