ぶんせきコラム

超薄膜

    ─ 最先端を最先端ではかる

身のまわりのパソコンのディスプレイ、つい最近までブラウン管を使ったものが主流でしたが、液晶を使った製品もたくさん目にするようになってきましたね。
前回、新製品ニュースでご紹介した『超薄膜分析装置』。

この装置は液晶ディスプレイに使われる「FPD(フラットパネルディスプレイ)」をはじめ、最先端の半導体製造プロセスで役立つのです。

もともと半導体は、シリコン酸化膜などの薄膜にアルミニウムや銅の配線を接続して形成されています。『超薄膜分析装置』はその薄膜の厚さや物質としての性質を分析します。

ところで、膜の厚さや特性の管理は、半導体製造プロセスにおいてどのような重要性があるのでしょうか?

じつは薄膜は、半導体の心臓部と言っても過言ではないほど重要です。その厚さや物質としての性質が、半導体としての動作スピードや信頼性を左右します。だから薄膜分析もとても重要なのです。

さらに最先端の半導体デバイスでは、極限まで薄いシリコン酸化膜が要求されます。

薄膜の計測には従来、「光干渉法」や「単波長エリプソ法」といった方法が用いられていました。しかし、これらの方法では超薄膜の精度が十分でなく、多層膜を一度に測るのにも適しませんでした。つまり、超薄膜を分析することはとても困難でした。

しかし最新技術はいつも、「不可能」を「可能」に変えていきます。

『超薄膜分析装置』で採用されている「光弾性変調素子(PEM)を用いた分光エリプソメータ」という原理は、240〜830nm(ナノメートル)の広い波長領域を、最小測定時間1ms(ミリ秒)で分析します。

これによって、これまで透過型電子顕微鏡を用いて、断面をカットして観察するしか方法のなかった、シリコン原子わずか数個分に相当する10オングストロームの超薄膜をも、『超薄膜分析装置』は短時間で計測・分析できるようにしてしまいました。

半導体の最先端を支えるのはやっぱり、最先端の分析技術なのです。





「厚さ1nmの超薄膜分析装置」