ぶんせきコラム

情報通信を支える
化合物半導体と計測技術


日進月歩を続ける情報通信。この情報通信を支えているのは、いうまでもなく半導体デバイスです。なかでも、現在多くの産業機器や家電製品に使用されるシリコン半導体とは違った性質をもつ「化合物半導体」は、情報通信のキーデバイスとして急速に用途を広げています。

「化合物半導体」は、電圧を加えると可視光や赤外線を発したり、高速で動く電子を発生させるなど、シリコン半導体にはないユニークな物性をもっています。

CDやDVDにはもちろん、光ファイバ通信に必要な「半導体レー ザ」や「受光素子」、そして衛星通信や携帯電話などワイヤレス通信に不可欠な「マイクロ波半導体」や「高速デジタルIC」なども、この「化合物半導体」によって実現されています。

「化合物半導体」の製造法として一般的なものに「MOCVD法(有機金属化学気相成長法)」があります。

これは、有機金属化合物と水素化物等を原料として、熱分解反応により半導体薄膜を堆積する方法です。

原料である有機金属化合物や水素化物は、ガス化されて製造工程へ供給されるのですが、ここでガスの流量を精密に制御することで、 半導体薄膜の成長速度や組成をコントロールします。

このとき活躍するのが「インラインガス濃度計」。

ガスが特定の波長域の赤外線を吸収し、濃度に対応した吸収量を示すという原理を利用した計測装置で、原料ガスの供給ラインに直接つなぐことでリアルタイムで正確な原料コントロールに役立っています。