ぶんせきコラム

喘息治療をたすける
テオフィリン測定装置


喘息(ぜんそく)の治療に使われる薬に「テオフィリン」というものがあります。テオフィリンは気管支拡張剤の一種で、紅茶やコーヒーにもわずかに含まれている成分です。これには、人をリラックスさせる効果があります。

薬としてのテオフィリンは、喘息の患者に発作を起こしにくくするために継続的に投与され、また急な発作症状の緩和のために点滴することもあります。しかし、投与しすぎると痙攣などの副作用が出てきます。つまり、血液中のテオフィリン濃度が低いと効かず、高すぎると副作用が出るので、血中濃度がある適性な範囲になるよう投薬することが求められます。

そこで医師は患者の血中テオフィリン濃度を調べて、個人差にあわせた投薬計画や点滴投与を行います。

ひとによって薬の吸収されかた、効きかた、持続時間などが違うため、血液中の濃度を調べて薬の最適量を患者ごとに決めていきます。

ところが従来、このテオフィリン濃度を測定する装置はとても高価で、開業医や外来診療で使うには不向きでした。また、複雑な装置を用いない測定キットもあるのですが、読みとりが困難であったりします。

そこで、医院や小規模な病院でも導入できるような自動テオフィリン測定装置が最近開発されました。

この装置はラテックス標識免疫比濁法と呼ばれる方法で、1滴の血液からテオフィリン濃度を測定できます。ラテックスはいわゆるゴムの粉で、テオフィリンを抗原とする抗体にこのラテックスをつけた試薬をもちいます。

その原理は、血液と試薬を混ぜると血液中のテオフィリンと抗体が反応して結合しますが、このときにラテックスも凝集します。この凝集によって反応液に濁りが生じるので、これに赤外線を透過させることによってテオフィリン濃度を知ることができるというものです。

この自動テオフィリン測定装置は、全自動処理とデジタル表示を備えながらも、製品・試薬ともに低価格が実現されました。

テオフィリンを投薬するサテライト、つまり喘息専門開業医、呼吸器外来やアレルギー外来で使うのに最適の装置となっています。

これから気圧変動の激しい台風シーズンを迎え、寒さがゆるむ春先 まで、喘息の発症や症状悪化が増えます。この時期には患者ごとにテオフィリン量を変える必要があったり、年齢などの個人差に応じて処方する必要があるため、テオフィリン測定が非常に重要になり自動テオフィリン測定装置の活躍する機会も増えてくるのです。