ぶんせきコラム

エンドウと分析の関係とは?


「煙道排ガス」という言葉を耳にしたことはありますか?自動車や船舶と同じように、工場や焼却炉も「排ガス」を出します。今回は、この「煙道排ガス」とその分析についてご紹介しましょう。


煙道排ガス測定って何をするの?
煙突から出るガスを計測することを「煙道排ガス測定」といいます。「煙道排ガス」とは、燃焼したガスを煙突まで導くダクト、すなわち「煙道」の途中でガスを測ることから、このような名前で呼ばれるようになりました。測定するガスの成分は「窒素酸化物(NOx)」、「二酸化硫黄(SO2)」、「一酸化炭素(CO)」、「酸素(O2)」などです。


なぜ煙道排ガスを計らなければならないの?
地球環境を大気汚染から守るため、「大気汚染防止法」や各都道府県の条例が定められていて、このとりきめによって煙道排ガスを測定しています。これは、地球上に生存するすべての動物、植物にとって、悪い影響を与える有害な成分の排出を抑制するためのもので、もちろん人間の健康を維持するためでもあります。


どこに行けば分析装置があるの?
煙道排ガス分析装置は、発電所やゴミの焼却施設などに設置されています。法令で決められた量以上の燃焼ガスを排出する煙突があるところです。排出量が少ないところや、連続でガスが排出されないお風呂屋さんのようなところには設置されません。


測定するとどんな効果があるの?
煙道排ガス測定は、ガス濃度を連続で監視するほか、有害ガスの発生を未然に防ぐ目的もあります。たとえば、みなさんもご存知のダイオキシン。これは不完全燃焼の状態である材料を燃焼したときに発生しやすくなります。不完全燃焼が起こると一酸化炭素の濃度が高くなので、この濃度が高くならないように燃焼をコントロールすれば、ダイオキシンの発生を抑制することができるのです。


どのように測定するの?
煙道排ガス測定では、煙道から燃焼後のガスを吸引して、まず処理装置に通します。ここでは汚れたガスからダストや水分などが除去されます。そのあと、赤外線や磁気を利用して各々の燃焼ガス濃度を測定します。赤外線を吸収する性質を持つ、窒素酸化物、二酸化硫黄、一酸化炭素などは、その吸収量を濃度に換算して測ります。酸素は磁気にひきよせられる性質を利用して、ひきよせられて集まった酸素の密度から濃度を測ります。


また、HORIBAの分析装置では「クロスフロー」という特許技術が使われています。この技術を用いたは分析装置は、長期間にわたって安定した性能を発揮し、装置の寿命もとても長くなるように設計されています。測定ガスときれいな空気と交互に分析部に導入することで、いわばお掃除しながら排ガスを測定するような仕組みになっています。空気も分析装置も、いつまでもきれいであってほしい。そんな願いがこの技術を生み出したのかもしれませんね。