ぶんせきコラム

小さな悪魔を追え!
── PM2.5


大気中に浮遊する微粒子は、ぜんそくの原因のひとつともいわれ、従来から問題視されてきました。とくに最近では、その微粒子の中でも「PM2.5」(PM:particulate matter) とよばれる微粒子に注目があつまっています。


PM2.5とは
「PM2.5」は、大気中を浮遊する粒子径2.5μm以下の微粒子のことです。PM2.5の研究は米国ではじまり、1997年に規制がもうけられました。現在米国ではPM2.5とあわせて、1997年以前から規制のあった「PM10」とよばれる、粒子径10μm以下の粒子の2種類について監視が行われています。

日本では、「SPM」(suspended particulate matter)とよばれる粒子径10μm以下の微粒子について、1975年から環境基準が設定され大気中のSPM濃度が監視されています。SPMは、米国で規制されているPM10とはその内容が少し異なりますが、規制の目的は同様のものと考えてよいでしょう。


なぜ「2.5μm」なのか
米国でPM2.5が規制化されたきっかけは、大気中の微粒子濃度と死亡者数との相関が調査されたとき、PM2.5濃度がPM10濃度よりも死亡者数と高い相関をしめすと報告されたことです。これは、より小さな微粒子のほうが健康におよぼす影響が大きいということになります。

PM2.5が健康を害する危険が大きい理由は、より小さな粒子のほうが大きな粒子よりも気管を通過しやすく、肺の奥深いところまで届くためだといわれています。またPM2.5の大半が、排ガスなどに由来する有害ガスが凝集してできた微粒子であるため、大きな粒子よりも有害成分を多く含んでいるからだともいわれます。


日本におけるPM2.5
日本においては、1999年の和解にいたった川崎市南部の道路公害をめぐる「川崎公害訴訟」で、国と住民との和解案に「大気中のSPMの調査とともに、PM2.5の測定手法を調査すること」という条項がもりこまれました。このように日本でも、PM2.5の測定手法や健康に対する影響について調査がはじめられました。これらの動きに対応するため、環境分析機器メーカでもPM2.5を連続測定する装置の開発をすすめてきました。