ぶんせきコラム

お風呂のpHと
レジオネラ対策


「レジオネラ症」という言葉を耳にしたことがありますか?浴場などで発生する危険性のあるこの感染症を、未然に防ぐための適切な衛生管理とは。


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「レジオネラ症」とは
「レジオネラ症」「レジオネラ属菌」が原因で起こる感染症で、「ポンティアック熱」というインフルエンザのような熱性疾患や、ときには死にいたるほど重い「レジオネラ肺炎」を引き起こします。とくに「レジオネラ肺炎」は、乳幼児や高齢者、体力の低下している人がかかりやすいといわれています。

「レジオネラ症」をひきおこす「レジオネラ属菌」は、もともと土の中や河川、湖沼など自然界に生息し、アメーバなどの原生動物に寄生するものです。しかし20℃〜50℃で増殖するため、冷却塔や循環式浴槽などの「人工環境水」でも検出され、これらの菌を含んだミストを吸い込むことにより感染します。

1999年4月に感染症発生の動向調査をさだめたいわゆる「感染症新法」が施行され、循環浄化装置を利用した浴槽水が原因とみられる感染や死亡例が数多く報告されるようになりました。これらのことをうけて厚生労働省は、2001年9月、「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」をさだめ、各都道府県や公衆浴場やプールに関係する団体に周知をうながしています。

浴槽からの感染をふせぐために
一般に浴槽の衛生管理は、「塩素系薬剤」を投入することによって消毒を行います。このとき浴槽水の薬剤濃度が低すぎると、十分な消毒効果が得られません。反対に薬剤濃度が高すぎると、こんどは塩素臭が発生したり設備をいためることにつながります。

このため、浴槽水には適切な量の薬剤を投入することが求められるのですが、季節や利用状況によって水質が変わるうえ、とりわけアルカリ性の温泉では「塩素系薬剤」の効果が低下します。そのため、浴槽水のpHをこまめにチェックして、つねに適切な量の薬剤を使用することが重要です。


関連情報
循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル
(厚生労働省)