ぶんせきコラム

暖房・給湯器具排ガス
測定のスタンダード


9月に入ると少しずつ涼しい日が多くなって、朝晩など時おり秋の空気を感じることさえあります。ほとんどの地域では、暖房をつけるにはまだ少し早いかもしれませんが、家事やお風呂でお湯をつかう量も増えてきたのではないでしょうか。今回は、これからの季節に恋しくなる暖房や給湯など、燃焼器具の開発にかかせない、『燃焼器具排ガス測定装置』をご紹介します。
image
かくれたスタンダード
石油やガスを燃料とするストーブ、給湯器、風呂釜などは、その安全性や性能を確かなものにするための基準が、日本工業規格(JIS)で決められています。国内で販売される燃焼器具は、「日本燃焼機器検査協会」や「日本ガス機器検査協会」が検査や認証を行って、規格を満たしていることが確認されています。

『燃焼器具排ガス測定装置』は、燃焼器具からでる排ガスを分析し、一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO2)の濃度を測定します。おもに器具の開発実験や品質管理にもちいられるほか、上記のような検査機関でも使用されていて、かくれたスタンダードといえるでしょう。

燃焼器具のためのガス測定とは
燃焼器具の開発では、最適な燃焼状態をつくりだすために、条件をさまざまにかえて燃焼実験を行います。しかし、ガス濃度測定には、時間がたつと同じ濃度のガスを測っても指示値が変化してゆく、「ドリフト」という現象がありました。これは、何度も実験をくりかえさなければならない燃焼実験には大敵です。

そこで『燃焼器具排ガス測定装置』では、COの測定に「クロスモデュレーション」という方式を採用し、原理的にゼロ点がずれないようにしています。これによってドリフトがおこる量をきわめて小さく抑えることができ、低濃度の測定でも信頼性を高める結果となりました。

また、「クロスモデュレーション」をつかうことによって、従来のガス分析装置にかかせず専門知識を必要としていた「光学調整」という作業がいらなくなりました。さらに、CO2の測定に「光源変調」という方式をつかうことで、これまで必要だった「比較ガス」を不要にするなど、運用やメンテナンスのしやすさにも改良が加えられています。

暖房や給湯器具の品質をたもち私たちの快適で安全な生活をまもるため、『燃焼器具排ガス測定装置』が、かげながら活躍しているというわけです。