ぶんせきコラム

低硫黄燃料を分析する


「S-50ppm軽油」をごぞんじですか?これまで日本では、軽油に含まれる硫黄の量が500ppm(*1)に規制されてきましたが、この含有量を10分の1にあたる50ppmにまでおさえた「低硫黄軽油」のことです。
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燃料と硫黄の関係
軽油に含まれる硫黄は、ディーゼル車から出る「スス」の正体、「粒子状物質(PM)」ができる原因の1つとされています。また、ガソリン車でも燃料に含まれる硫黄分が、「窒素酸化物(NOx)」などの大気汚染物質を除去する触媒装置の効率を低下させたり、寿命を短くさせたりすることがあり、燃料中の硫黄分低減がもとめられました。

そこで、東京都の一部のガソリンスタンドでは、この9月から低硫黄軽油の販売がはじまっています。他の地域へも順次ひろげられ、2003年10月からは全国で低硫黄軽油が供給される見通しで、2009年ごろには規制化も検討されています。

超低濃度分析への挑戦
軽油やガソリンに含まれる硫黄分を抑えるためには、その研究開発や生産工程での分析が欠かせません。これまでも燃料中の硫黄濃度は分析されていましたが、その目標値が10分の1になったことで、その手法にも変革が必要でした。

とくに米国やEU諸国では、50ppmをさらに下回る30ppm、15ppm、10ppmといった規制も検討されていることから、従来は数10〜数ppmだった検出下限を大幅にクリアする必要にせまられたのです。

そこで、「紫外蛍光法」という原理をもちいた、まったく新しい硫黄分析計が開発されました。この方式による装置は検出下限を30ppb(*2)として、今後さらに進む燃料の低硫黄化の流れに大きく貢献できると期待されるだけでなく、日本工業規格(JIS)や国際標準化機構(ISO)で定める分析法としても規格化が予定されています。

*1
「ppm」は100万分の1をあらわす単位。
*2
「ppb」は10億分の1をあらわす単位。

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