ぶんせきコラム

ナノテクをささえる
「ナノ粒子径・ゼータ電位測定」


「ナノテク」は、広範囲な科学技術の発展をささえる重要分野として大きく注目されるとともに、産・官・学のすべてが研究開発に対して積極的な投資を行っています。今回は「ナノテク」のみなもとともいえる「ナノ粒子」について、その粒子径・ゼータ電位を計測する方法についてご紹介します。
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粒子測定はナノオーダへ
粒子測定の微小化はさまざまな分野で進んでいます。たとえば材料分野では、炭素、酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛などの微粒子化が要求されるほか、エレクトロニクス分野でもフラットパネルディスプレイのカラーフィルタに使用される顔料や、ライフサイエンス分野で化粧品などに使用されるエマルジョンがナノオーダになっています。さらに、環境・エネルギー分野でも燃料電池に使用される電極材料の微小化がもとめられるなど、ナノ領域での粒子測定のニーズはますます高まっています。

微小領域もこなす「動的光散乱式」
従来からある粒子径・ゼータ電位を計測する技術としては、目の大きさが異なる複数のふるいをつかって粒子をグループ分けする「ふるい分け法」や、粒子の大きさによって液体中で沈んでいく速度が異なることを利用した「沈降法」、そして粒子に光をあてたときに散乱光の角度やパターンが異なることを利用した「ミー散乱法」などがあります。

とくに「ミー散乱法」応用した『レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置』は、高速できわめて信頼性の高い測定結果を得られる優れた方式ですが、それでも測定下限は0.1μmまででした。そこで、さらに微小な領域の粒子を測定するために開発されたのが、『動的光散乱式粒径分布測定装置』です。

粒子は、周囲に存在する気体や液体の分子が衝突することによって、つねに不規則な振動をしています。この現象は「ブラウン運動」とよばれていて、粒子が小さいほどその動きが活発になることがわかっています。『動的光散乱式粒径分布測定装置』は粒子にレーザを照射し、「ブラウン運動」による「ドップラー効果」で波長の変化した光を検出し、その粒子径を導き出します。

この方式により、従来の測定下限を大幅に下回る0.3nmからの高精度測定が可能になったばかりではなく、これまで希釈なしには測定の難しかった高濃度のサンプルでも、原液のまま測定できるようになりました。

『動的光散乱式粒径分布測定装置』が活躍
では、ナノ粒子を測定できる『動的光散乱式粒径分布測定装置』は、具体的にどのように活用されているのでしょうか。

建築材料を製造する、あるメーカでは、窒素酸化物(NOx)除去の目的で酸化チタン(TiO2)などを配合しています。この粒子を『動的光散乱式粒径分布測定装置』で測定した結果が、電子顕微鏡で観察した粒子径とぴったり一致することで、大きな信頼を生んでいます。

また別の例では、化粧品の原料となるエマルジョンを、高濃度でも原液に近い状態でナノオーダの測定ができることが、高い評価を受けています。

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HORIBA:ニュースリリース
ナノ粒子解析装置「SZ-100」2009年9月2日発売