ぶんせきコラム

軽油・ガソリンの硫黄濃度規制と高感度分析


地球環境への意識の高まりにともない、環境汚染防止のためのさまざまな法規制が実施されています。なかでも「中の硫黄濃度規制」は大気汚染防止対策として注目されています。
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低硫黄化がすすむ軽油・ガソリン
自動車の燃料として使用する軽油・ガソリンに含まれる硫黄分が、排ガスとして大気に放出されて大気汚染や酸性雨の原因のひとつとなり、車両に搭載された排ガス浄化のための「触媒装置」の性能や寿命を損なうことから、その低減は課題とされています。

今後、軽油・ガソリン中の硫黄濃度規制は、日本だけでなく各国で段階的に実施されることが見込まれてます。そのため、石油業界では、より低硫黄の軽油・ガソリンの研究・開発がすすめられており、そこで必要となるのが従来以上に低い濃度まで分析が可能な高精度・高感度の「硫黄分析計」です。

ぶんせきcafe「低硫黄燃料を分析する」

高感度・高精度硫黄分析へのとりくみ
さて、「低硫黄燃料を分析する」でもご紹介した、低濃度の硫黄を分析できる『紫外蛍光法硫黄分析計』ですが、今回は分析方法について、より深く掘り下げてみましょう。

「紫外蛍光法」では、試料をまず加熱した燃焼管に導入します。ここで試料に含まれていた硫黄化合物は酸化分解され、二酸化硫黄(SO2)になり、水分除去されます。

こうして得られた二酸化硫黄に、つぎは紫外線を照射します。紫外線のエネルギーにより「励起状態」となった二酸化硫黄は、もとの「基底状態」に戻るときに一定の「蛍光」放出します。そして、この蛍光の強さを光電管で検出すれば、もともと含まれていた硫黄分がわかるというしくみです。

この原理を採用した『紫外蛍光法硫黄分析計』は、燃焼効率の高い独自の「横型電気炉」と「超高感度型UV検出器」により、30ppbの検出限界と、標準偏差0.2ppm以下の再現精度を実現しました。

また、サンプリング方式にはマイクロシリンジによる直接挿入方式をもちい、揮発性の高い燃料油にも対応します。さらに、「オートサンプラ」は、マイクロシリンジを洗浄液で洗浄する機構と燃焼管をクリーニングする機構により、さまざまな濃度範囲の試料に対して安定した多検体自動測定が行えます。

低硫黄燃料規格化へのうごき
「紫外蛍光法」は、国際規格(ISO)や米国規格(ASTM)としてはすでに規格化されています。日本でも、石油学会法として平成12年度より検討され、平成15年度中にも日本工業規格(JIS)となる見とおしです。

このようなニーズにこたえて開発された『紫外蛍光法硫黄分析計』は、高感度・高精度分析のための工夫が随所に凝らされています。

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HORIBA:ぶんせきcafe
「低硫黄燃料を分析する」