[報道発表] 掲載内容は発表日時点の情報です。

−総合病院検査分野へ本格参入−専門部隊でブランド確立へ

2007年5月15日


 当社は、1時間に120検体と高速処理できる病院検査室向けの血液分析装置の最上位機種 Pentra DX 120 (LC-6011型)を、5月下旬より国内で販売開始します。
 本装置は、成長過程の未成熟な細胞も測定でき、血液疾患の診断や治療効果のモニタリングなど、より詳細な血液分析情報が提供でき、大規模病院の中央検査室のニーズに対応する大型機種です。
 1987年、他社にない小型機種という独自戦略で開業医市場トップシェアに至った当社は、今回の病院の中央検査室向けの上位機種投入により血液分析装置をフルラインアップする国内メーカーのひとつとなり、お客様のニーズに幅広く迅速対応していきます。そして血液分析装置で3年後の2010年今の約2倍の62億円への伸びを目指します。


〈今回の製品を投入する意義と狙い〉

今年は、血液中電解質分析装置を主に医用事業を始めて30年になります。その後、仏の血球計数装置メーカーHORIBA ABX社('96年買収)と共に、それまで業界になかった小型簡便で短時間測定で診察室に置いて即測れる開業医や診療所向け市場を新たに開拓し3割以上のシェアに成長しました。この小型市場での成功を足がかりに、臨床現場で求められる診断装置の開発を続けており、4月には院内ネットワーク対応機能や自動再測定などによる検査業務の効率向上を目的とした中型機種を発売。更にこの度、多量検体を迅速に検査する大型でしかも高度分析(幼若細胞)する、病院の検査室向け装置を投入することで、小型から大型までの商品ラインアップが整いました。一方、小型に比べて大型機の方が検査処理能力が高いので、検査試薬の消費量が大きくなり、結果当社の収益性向上にも貢献するものと期待しています。

今回のHORIBA ABX社製の大型機種発売を機に、従来から主戦場としている開業医向けの小型市場と同じく、大病院や検査センターといった大型市場でのブランド確立に注力し、「小型から大型まで血液分析ならHORIBA」との信頼を得られることを目指します。

そのために、グループのHORIBA ABX社製品の日本国内への浸透を垂直立ち上げする専門部隊を、当該製品群管轄の“医用システム統括部”内に『ペントラ事業推進室』を昨秋立ち上げました(人員42人)。この部隊では、今回の大型機種と従来からの小型・中型機種、さらにHORIBA ABX社として新たに進出している生化学分野装置と、HORIBA ABX社の製品の日本国内での販売促進を24時間推進する専門組織です。

ブランド力を左右するほどの意味を持ちかつ本丸の大型市場へ“血球計数の専門メーカーHORIBA ABX社の技術力+国内計測メーカーの当社の信用力”へ本格的に市場参入します。


〈血球計数装置の市場と今回の製品について〉

血球計数は、血液中の赤血球や白血球、血小板などの血球成分の個数、ヘモグロビンの濃度などを測定する検査で、医院・診療所や健康診断などで行われるスクリーニング検査から、血液疾患の診断や治療効果のモニタリンのために大規模な施設で行われる検査まで、幅広い場所・目的で行われます。特に、近年は医療技術の高度化により、本来は血液中に存在しない幼若な細胞(成長過程にある細胞)の測定による、臨床への診断支援が求められています。

当社の仏子会社 HORIBA ABX社が開発したPentra DX 120では、幼若な血球細胞をその由来別に定性、定量分析が可能であり、種々の疾患の診断や治療効果のモニタリングに有用な情報を提供するとともに、血液疾患における幹細胞移植にも活用できるものと期待されます。なお、発売は5月下旬の予定です。


〈主な特長〉

  • 幼若血球細胞を由来別に定性・定量分析
    幼若系の測定項目:IMM:Immature Monocyte(幼若単球)%及び#、IMG:Immature Granulocyte(幼若顆粒球) %及び#、IML: Immature Lyphocyte (幼若リンパ球) %及び#、赤芽球、網赤血球
  • 各種検査室情報処理システムに対応し、ネットワーク性を充実。


〈主な仕様〉

測定項目:45項目
赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、平均赤血球、容積、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度、白血球5分類(#、%)、幼若顆粒球(#、%)、幼若リンパ球(#、%)、幼若単球(#、%)、網赤血球、赤芽球(#、%)
測定時間:最高約120検体/時間
外形寸法:重量:117(W)×75(H)×55(D)mm, 約110Kg
測定原理:電気抵抗法、光学的測定法、染色法、フローサイトメトリー法


〈標準価格〉 1800万円(予定)


〈販売目標台数〉:初年度(発売開始から)10台/5年間累計 120台


参考資料

【用語説明】

  • 幼若系細胞
    血球細胞は、白血球・赤血球・血小板と分類され、中でも白血球は好中球・単球・好酸球・好塩基球・単球に分類されます。これらの細胞は、造血幹細胞と呼ばれる共通の母細胞から分化し、増殖しています。通常、体内を循環している血液(末梢血)には、成熟した血球細胞しか存在しませんが、何らかの疾患では末梢血中に未成熟な細胞が出現します。特に白血病では、未成熟な白血球がどの系の細胞(リンパ系・骨髄系・単球系)であるかにより、治療方針が大きくことなるため、幼若系の細胞の定性・定量測定が重要視されています。また、白血病治療の造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植)に際して、移植前に患者さんの白血球を減らす治療を行います。血液中の白血球数の確認により、移植時期の決定がなされます。移植後は移植した幹細胞が正着していることを、血液中の白血球数の測定によって確認します。幹細胞の移植後は幼若な血液細胞が作られるため、この検査に本装置が有用と期待されています。