シンチレーション式で業界初 / スマホと連動できる放射線測定器 開発

|   ニュースリリース

『いつ(時間)・どこ(場所)・どれだけ(線量)』をお手持ちのスマホでわかる
今春、福島に新たに拠点を開設し、サービス体制を強化

当社は、シンチレーション式(*1)では業界初のスマートフォン(高機能携帯電話)への測定データ送信機能を付けた、空間線量を測る手のひらサイズの環境放射線測定モニター"ラディ(*2)"の新型〔PA-1100〕を開発、今月20日に発売します。
この新型は、10秒ごとの空間放射線量をスマートフォンに送信し、専用アプリ(*3)と連動させて測定値と併せて位置情報と日時を自動記録します。お手持ちのスマホでほぼリアルタイムに放射線量を数値やグラフで見られます。また、メール送信すれば複数箇所のデータ集計も可能です。大きさ68×28×121mm、重さ175g、測定範囲0.001~19.99マイクロシーベルト/時、USB端子付、価格は15万5400円(販売希望価格.税込)です。
また、今春、放射線測定器のサービス体制や販社との連携強化を目的に、福島県に新たに事務所を開設する予定です。

 

スマホ対応で放射線モニタリングを効率化

放射線モニタリングは、常時定点測定や移動広域測定、多点測定など、目的に応じて多様な手法で行われています。土壌や溝など細かな箇所まで測定する多点測定では、小型軽量で低線量まで高感度測定が可能なシンチレーション式放射線測定器が推奨されています。
測定には作業者が測定値を読み取り、さらにその場所も記録する必要があり、かなりの手間がかかります。
そこで、当社は作業の効率化を目的に、現在販売している環境放射線モニター(PA-1000)に、シンチレーション式では業界初めて(当社調べ)通信機能(Bluetooth®)を加えた新製品を開発しました。基本ソフトにAndroid™を搭載したスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット(多機能情報端末)と連動させて、位置情報や日時を自動記録できます。
放射線量や時間・位置情報のデータファイルを用いることで、第三者との情報共有が簡単にすばやくでき、データ集計や解析の省力化に貢献します。
また、既存製品PA-1000の測定範囲0.001~9.999μSv/hを2倍のワイドレンジ(0.001~19.99μSv/h)に拡大し、より多くの測定ニーズに対応します。

 

測定方法と通信機能の活用

携帯情報端末で専用アプリケーション(当社開発/ダウンロード無料)を起動させたうえで、本器の電源ボタンを押すと、35秒後から自動的に測定をスタートします。60秒ごとの平均値をもとに1時間あたりの空間の放射線量を表示します(0.001~19.99μSv/h)。もうひとつのボタン(本器には操作ボタンは2つだけ)を押すと測定データを発信し、情報端末に自動的に記録します。このアプリケーションを介して測定データと同時に日時と位置情報をほぼリアルタイムにスマホで記録します。折れ線グラフ表示もできます。さらに本器のUSB端子と接続することで、パソコンでも経時変化グラフ作成が可能です。
このように、測定データをデジタル信号で発信(無線・有線共)できるため、第三者との情報共有が容易に行え、情報データベースや線量マップのようなソフトウェアへの応用展開も期待しています。
なお、本器は空間放射線量(単位:シーベルト)を測定するもので、食品や農作物などの放射能量(単位:ベクレル)としては、直接測定・表示できません。

<発売日>
2月20日 

<販売希望価格>
15万5400円(税込)
なお、当社からの直接販売はいたしません。お問い合わせは、カスタマーサポートセンター0120-37-6045までご連絡ください。

<販売台数(予定)>
初年度(発売から1年) 3000台 

<想定用途> 
除染効果の評価、放射能モニタリング、放射線量データベース、放射線量マップ作成など

 

<主な仕様>

外形寸法68(W)×28 (D)×121 (H) mm
質量175g
測定範囲0.001~19.99μSv/h(=マイクロシーベルト/時)
〔測定値は4桁表示〕 0.001~9.999 μSv/h 10.00~19.99 μSv/h
測定放射線ガンマ(γ)線
検出方式シンチレーション式
記録項目①放射線量 ②日時 ③位置情報 (情報端末の搭載機能による)
電源アルカリ単三乾電池 2本
通信機能Bluetooth®、USB

 

なお、土壌などの放射線測定ができるオプションの放射能簡易測定キット(PA-K)とセットで使用可能。 

用語解説
(*1)シンチレーション式放射線測定器
放射線をキャッチしてその量に対応した強さの光を出すものを、シンチレーション式放射線検出器と呼ぶ。本製品では、放射線検出器として「固体シンチレーター」と呼ばれるCsI(ヨウ化セシウム)の結晶を用いている。放射線の量に応じて検出器から出る蛍光をフォトダイオードで電気信号に変換し、1時間あたりの放射線量として表示。GM管などガイガーカウンターに比べ、10倍以上高感度で微量な放射線の測定が可能。

(*2)ラディ
当社の環境放射線測定器のブランド。1990年から携帯型の環境放射線測定器を提供し、2009年に理科教材向けにPA-1000形を発売。検出部にCsIシンチレーターを採用し、測定範囲が0.001~9.999マイクロシーベルト/時と微量な放射線を高精度に測定可能。同様の測定精度を持つNaI(ヨウ化ナトリウム)シンチレーターの測定機器と比べ、3分の1以下の低価格で小型化を実現している。

(*3) 専用アプリケーション
基本ソフト(OS)にAndroid™を搭載したスマートフォンやタブレットとWindows XP以降のパソコンに対応したソフトウェア。情報端末のGPS機能や時間情報を活用し、放射線量に加えて位置情報や時間も一括して記録する。時間経過による放射線量の変化も折れ線グラフで表示する。

 

製品情報 環境放射線モニター PA-1100”ラディ”

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