ディーゼル噴霧火炎内すす生成過程のレーザ計測

相澤 哲哉 | |   35

排気微粒子の排出が少ないクリーンなディーゼルエンジンの開発には,エンジン燃焼室内の噴霧火炎中におけるすす生成過程の詳細な理解が必要となる。筆者らはレーザ画像計測法を用い,火炎内ですす前駆物質と呼ばれる物質が生成しすす粒子に成長する領域と時期を明らかにした上で,すす前駆物質の成分や成長過程に関するより詳しい情報を得るため,新たに多波長レーザを光源とする励起発光マトリクス(EEM)法という計測法を開発した。EEM法による計測の結果,エンジンの運転条件の違い(雰囲気温度や酸素濃度の低下)により,ディーゼル噴霧火炎中でのすす前駆物質の生成や成長が,遅延あるいは停滞することなどが明らかになってきた。