表面分析セミナー SurfaceFest2018開催報告

2018 年11 月30 日(金)に「HORIBA SurfaceFest 2018 表面分析セミナー」を開催しました。

2008年から”GD-Day”という名称で、隔年でセミナーを開催してきましたが、HORIBAは、分光エリプソ、カソードルミネッセンス、蛍光X線、ラマン分光、またラマン分光をナノ応用したAFM-Raman(TERS)など、多くの表面分析技術を保有しており、皆様と一緒に新たな展開・付加価値創造に挑戦し、技術のシナジー、融合をしていきたいと思い、表面分析装置ユーザの皆様にお越しいただき、ユーザ講演、パネルディスカッションを行いました。

国内外から74名のお客様にご参加いただき、1日を通して疑問・課題を解消していただきました。さらにユーザ様同士で活用方法などの情報共有、新たな発見やさらなるスキルアップしていただく機会となりました。



ユーザ講演


半導体材料をはじめとするマテリアル分析をはじめ、DLCやフィルムコーティングなどの評価技術に関するテーマで、各分野のご研究をされているユーザの方々をお招きし、ご講演いただきました。

ユーザ講演プログラムはこちら

ユーザ講演(午前の部)
10:05-10:35「FPD, 半導体分野におけるGD-OES の複合測定」
株式会社アルバック 技術開発部 石榑 文昭 様
10:35-11:05「rf-GD-OESの有機フィルムへの応用」
富士フイルム株式会社 解析技術センター 大塚 徹郎 様
11:05-11:35「表面分析に関わる各種手法「with HORIBA」の紹介」
慶応義塾大学 中央試験所 三谷 智明 様
11:35-11:55「堀場における新Imaging技術紹介」
株式会社堀場製作所 西村 智椰
ランチョンセッション
12:05-12:15「半導体製造プロセスアプリケーション」
株式会社堀場エステック 高野 英臣
12:15-12:45「今さら聞けないGD-OES測定」
株式会社堀場テクノサービス 藤本 明良
ユーザ講演(午後の部)
13:00-13:30「DLCに関わる表面分析」
岡山県工業技術センター 素材開発部 基盤技術創成科 國次 真輔 様
13:30-13:50「コーティング゙・腐食防食分野で活躍する堀場技術紹介」
株式会社堀場アドバンスドテクノ 村松 哲
14:00-14:30「グロー放電発光分析法による二次電池材料の評価」
株式会社コベルコ科研 表面・物性解析室 沖 夏歩 様
14:30-14:45「電動化・車両開発への堀場のトータルソリューション提案」
株式会社堀場製作所 廣瀬 潤
14:45-15:25「GD-OES と過ごした8年間と軽元素の測定事例」
地方独立行政法人京都市産業技術研究所 金属系チーム 丸岡 智樹 様
15:35-15:55「The Great Challenge of GDOES ~How to Get the High Resolution Depth Profile~」
Department of Physics, Shantou University・Prof. J.Y.Wang
ユーザ講演の様子

ユーザ講演の様子


パネルディスカッション


産官学連携、オープンイノベーション、グローバル化という課題の中、各方面でご活躍されている方々をお招きし、「これからの表面科学に求められるもの」と題して、パネルディスカッションを実施しました。30分という短い時間の中でしたが、活発な議論が展開されました。

パネルディスカッションの様子

【自己紹介・講演の感想】


日鉄住金テクノロジー(株)
解析ソリューション部
伊藤 真之様

主に表面分析に携わっていて、入社以来GDS深さ方向の濃度プロファイルの分析をしています。スパッタレートの違いはデメリットと考えていましたが、今回表面処理の方で、スパッタレートの違いによってSEM観察などで優位に使えるということを改めて感じたので、日ごろデメリットと感じていることも分析手法によってメリットの方に扱えるということを改めて感じました。GDSは定量分析できることがすごい強みと感じます。標準試料をそろえることは難しいく大変ですが、GDSで定量すると、鉄鋼標準試料のBとかCaと数ppmの差はしっかり捉えることができます。他の表面分析のオージェやXPSでは微量元素の濃度は確認できませんが、GDSだとプロファイルとしてではありますが、微量もしっかり捉えることができるため、微量の定量分析ができることは強く発信したいです。
(日鉄住金テクノロジー(株) 解析ソリューション部 伊藤真之様)




慶應義塾大学
理工学部中央試験所
三谷 智明 様

責任が変わってきて、多くの装置に携わってきた体験・経験から、今は、学生から「この分析がしたい」というときは必ず入口になって救命救急センターのような役割になっています。GDSを中心として、切磋琢磨して色々なことをみんなで発表しあったり、話し合ったりする場所がどんどん膨れ上がっていることそのものは、今の世の中にしては成長分野になっていると思います。しかし、何かに偏重しがちなときは何かを失っていくことになるので、失わないで持っていくためにはどうしたらいいか。GDSには特長やメリットがありますが、欠点も当然たくさんあることは、分析している人が一番知っています。独りよがりになって考えてしまうと、よからぬ分析データを提供することになります。分析が改めてとても大事だと思うのは、「正しいか正しくないかは分析した人が決めている」「正しいかどうかというジャッジが本当は装置・設備の中に備わっていてくれることが一番望ましい。」と最近切に思っています。個人差がでてしまうことが世の中の悪い慣習になってしまっていて、同じ高いお金を払って依頼したのに、結果が違うことはよくある話で、「この世界なんだからあきらめようよ。」ではいけないと思います。分析が正しく行われることをみんながきちんと続けていけば、装置はみんなにとって必要なものであり、有益的に働いて、産業やいろんな大学の研究などが発展すると思っています。そんなことを日々思いながら仕事をしています。 (慶應義塾大学 理工学部中央試験所 三谷 智明 様)


「これからの表面科学に求められるもの」として、10年、20年で見たときに求められているものとは?


伊藤様:

GDSだと破壊分析なので、事前にサンプルの状態、どういう風に作られた材料なのかということを予めヒアリングしておかないと間違った分析、求めたいことがなくなってしまうことがあります。表面の状態(洗浄、研磨、試料調整など)は慎重に分析していかないと間違ってしまうということを日々心の中に置きながら仕事をしています。




三谷先生:

「試料99%、分析装置は1%」をモットーにしています。試料の情報はとても大切です。情報を説明されてもわからないこともたくさんあります。お金をもらって受託でやる立場だったら、受けたものはやるが、そもそも役に立つ内容であるかどうかを助言できるかどうか、そのためにはもう少し知識が必要。みんなが持つことは難しいと思います。効果が上がりにくい分析が多数おこっているのではないか。適切で効果があがる分析をしていく人の知識や仕組みが備わることが、分析センターで山積みにしている試料をこなしていくという一つの打開策になると思います。

また、ジャッジ、データで差異がでること、どれくらいの範囲だったらセーフ?どれくらいだったらアウト?という基準がどこにもありません。どの装置にも言えることですが、それを最適化していくという作業は、装置が目指していくところです。

また、装置はクリックしなければダメですか?今、自動車はハンドル持たなくても走るのに分析装置はクリックしなければ動かない。4000万円もする装置が自動で動かないことを当たり前と考えることは正しいのですか?条件のふりかたがどれだけ正しいのか?データが最終的に正しくでるという方向性に装置メーカが向かってくれなければ、産業とか教育間の科学研究とかのハード形成はすべて人に担保されていくと思います。伝言ゲームも3人くらい以心伝心したら終わるように、正しいデータが知見に得られなくなります。99%試料と言っているのは、装置が安定していても試料を安定させない限りサバ読みは大きいということです。研磨機メーカに、試料前処理を自動化、検証してほしいとお願いしたことがあります。日頃やっていることが正しいと全員が思っているが、実は全員違う条件を付与している、ということがとても大事な宿題とメーカに言っておきます。




(株)堀場製作所
事業企画チーム
森 哲也

技術面からいうと「測れていればいいじゃないか」ということが先だっていました。レンジはいかに広く、どれだけ早く測れるかが重要でアルゴリズムは一生懸命つくるけど、GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)って後回しになっているのが正直なところです。そのあたりは、お客様と接することで得られた情報であると思います。ノウハウ、知識がないと使えないのは分析装置の現状であり、メーカとして課題。助ける手段としてAIがでてきている。自動車から始まって、だんだん分析の方もそのニーズが高まってくるだろうと思っています。ノウハウは助けながらAIを取り入れながら分析技術は発展していかなければならないと思います。((株)堀場製作所 事業企画チーム 森 哲也)




(株)堀場製作所
科学・半導体営業統括室
中村 龍人(司会)

基本的にHORIBAは、お客様のお声を聞いてカスタマイズするのが一つのカルチャーです。これまでも多くのお客様のご要望をお聞きして、自動化、オートサンプラーなど様々なものを作ってきていますので、パネリストの方、ご講演いただいた方と情報、課題をシェアさせていただき、産官学連携、オープンイノベーション、グローバル化など課題がたくさんある中、日本として効率を上げたいということだと思いますので、これからもお客様のお声を聞いて期待に応えていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。((株)堀場製作所 科学・半導体営業統括室 中村 龍人(司会))



慶應義塾大学
理工学部中央試験所
三谷 智明 様

日鉄住金テクノロジー(株)
解析ソリューション部
伊藤 真之様

(株)堀場製作所
事業企画チーム
森 哲也

(株)堀場製作所
科学・半導体営業統括室
中村 龍人(司会)


懇親会・意見交換会


講演いただいた方への質問の場として、また、多くのユーザの皆様同士での情報交換の場として、懇親会では、表面分析について、興味深い意見交換がたくさんなされていました。

懇親会の様子

懇親会の様子


セミナー参加者のご意見・ご感想


ご講演いただいた招待スピーカーの方へのあたたかいお言葉や共感したというコメント多く頂きました。


  • 分析や装置に関して、自分と同じようなことを考えてる方がたくさんいるのだなと思いました。
  • 今後試してみたいと思う前処理・分析方法の情報を得ることができました。
  • 普段知る機会のない他社様の具体的な分析手法を聞けてとても有意義でした。
  • 試料調整・測定条件・データの妥当性が個人の経験と勘に未だに頼らざるを得ない状況でGD-OESの導入をすべきか、外注すべきか悩ましいが、導入前の情報収集に役立った。
  • GD-OESが様々な材料分野において非常に有用な分析装置であることを改めて確認できました。
  • 様々なアプリケーションを聞く機会が得られることは、日々の研究の中でのヒラメキの一助になると思います。
  • テーマがざっくりしすぎていてパネラーが大変そうに見えました。ユーザが言いたいことを公表できることはすごいと思います。
    続けてほしいです。
  • 産、公、学、メーカそれぞれの立場での発言から表面分析や日常の分析にあたってのヒントがあってよかったです。少し短かったと思います。
  • 今後の装置の導入の検討することを目的に参加し、GD-OESのメリット・デメリットなど知り、装置の理解につながりました。
  • 社内にGDがあるのに上手く使えていなかったが、今回のセミナーを聞いて、深さ方向の分析装置としての活用性を様々な方向から聞くことができて、非常に勉強になった、
  • GD-OESの使い方、用途が広がりました。自分たちの課題の中で、もっと使っていける様に想像できるようになりました。



セミナー開催にあたって


78名お申込みの中74名の方にお越しいただき、皆様からの期待を感じ、感謝しております。産官学連携、オープンイノベーション、グローバル化など課題ががたくさんある中、講演者、パネリスト、ユーザの皆様同士でたくさんコミュニケーションをとっていただきたいと考え今回1日を通して開催した「SurfaceFest 2018」ですが、懇親会までたくさん残っていただいて感謝しています。これからもお客様のお声を聞いて期待に応えていきたいと考えています。