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電子線技術と光技術を融合した結晶欠陥検出イメージング専用機を業界で初めて開発

2016年8月26日



8K以上の高精細な欠陥イメージング画像を4分で
次世代型パワーデバイスの研究開発スピードアップへ貢献

当社は、電子線と分光の両技術を融合し、基板の広い範囲を高精細かつ高速で画像化するカソードルミネッセンス(CL)(*1)測定専用の装置 「Imaging CL」を業界で初めて開発しました。本装置は、従来より小型で耐熱に優れた次世代型パワーデバイス向け材料として期待されるGaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)(*2)などの化合物半導体基板を画像化して評価、欠陥を知ることができます。
専用集光系の採用で8K以上の高精細なイメージング画像を実現。高い結晶性評価が可能です。
従来法の電子顕微鏡に装着するタイプのCL装置に対して100倍広い範囲を一度にしかも4分と1/10以下の短時間測定なので、評価時間を大幅に短縮できます。

パワーデバイスの必要性とその課題

パワーデバイス(電力用半導体素子)は、自然エネルギー発電における効率的な蓄電制御や電気自動車や電車・新幹線などの過酷な使用環境下の動力制御に用いられています。このような環境下にあるため、次世代型とも言える、より小型軽量化、より耐熱性の高いパワーデバイスの実現が求められています。そのひとつとして、現在のシリコンに比べて耐熱性に優れ小型化が見込めるGaNやSiCといった化合物半導体を使った基板が注目されています。
しかし、これら化合物半導体は、構造上結晶に不純物(欠陥)が混入する課題があるため、量産化に向けては結晶欠陥が少ない大型の基板が不可欠です。そのため、高品位の結晶を効率的に製作するための研究開発が行われています。

電子線技術および分光技術ついて

当社は、2013年に、株式会社トプコン(*3)から電子線技術を買収し本技術を応用した新たな装置の開発を進めてきました。一方、1997年買収したフランスのホリバ・ジョバンイボン社と連携し、世界最高品質の分光技術を使った分析装置の開発・販売を行っています。
この2つ技術(=電子線技術と分光技術)を融合した装置として、今回、カソードルミネッセンスイメージング専用装置を開発しました。

パワーデバイス評価における本装置の優位性

  パワーデバイス用の化合物半導体基板における結晶欠陥とは、ナノメートル域(1nm=100万分の1ミリメートル)と非常に微小です。結晶欠陥の評価方法の一つとして電子顕微鏡にオプション装着するカソードルミネッセンス(CL)装置を使う手法がありますが、通常、電顕の特性に帰属するため、0.2mm×0.2mmと、限られた狭い範囲を測定していました。基板全体を評価するには位置を変えながら何回も測定する必要があります。
今回開発した装置は、より広範囲からのCL光を集光できる光学系を独自開発することにより、2mm x 2mmと従来手法比約100倍の面積を一度に測定でき、画像化しますので、欠陥評価が一目瞭然です。さらに、100Mピクセルの高分解能を持っているので、高精細のまま自在に拡大~縮小して評価作業ができます。また、電子顕微鏡の電子線を流用する従来法では、2mm×2mmの面積を測定すれば1時間程度かかるところを、今回の専用機では4分と1/10以下に短縮につながります。本装置はGaNやSiC等を用いた省エネルギー、省スペースにつながる将来のパワーデバイスの開発スピードを向上させるものと期待します。 

カソードルミネッセンスイメージング装置:Imaging CLの特長

  1. 2mm四方領域の測定が一度で可能。従来手法の約100倍の広さ
  2.  超高分解能画像の取得(100M pixel)。TVであれば8K以上の高精細度
  3.  高速画像取得(約4分)。従来手法比1/10の短時間でイメージング画像を提供

【用語説明】

 (*1)カソードルミネッセンス(CL)とは、電子線を物質に照射することにより、その材料のバンドギャップに相当する波長の光が発生する現象であり、その光を捉えることで、その物質の電気特性、結晶特性を評価することができます。当社は、基礎研究やその後の高効率な品質管理が期待される分析装置を提供することで、ものづくり競争力の向上に貢献します。

(*2)GaNやSiCは、絶縁破壊電圧がシリコンに比べて10倍程度高く、小型で高電圧や大電流を扱えることが特徴です。一方で、シリコンのように結晶欠陥の少ない結晶を作ることが難しく、その製造には高度な結晶製造技術を要します。

(*3)株式会社トプコン  
設立:1932年(昭和7年)9月1日
代表取締役社長:平野 聡
売上高(連結):130,735百万円(2016年3月期)
事業内容:ポジショニング(GNSS、マシンコントロールシステム、精密農業)、スマートインフラ(測量機器、3次元計測/モニタリング、BIM)、アイケア(眼科用検査・診断・治療機器、眼科用ネットワークシステム、眼鏡店向け機器)等の製造・販売
2013年3月29日に同社のもつ電子ビーム技術の譲渡契約を締結し、マイクロ・ナノといった微細領域における画像化技術を補完することで製品開発力をより強化しています。