各種表面分析手法の特長を示します。GD-OESは操作性、分析時間、深さ分解能が優れていることから研究・品質管理両面において使用できる装置です。
GD-OES | SIMS | XPS | EPMA | |
深さ分解能 | 数 nm~ | 数 10 nm~ | 数 nm~ | 1 μm~ |
対応深さ | ~100 μm | ~数 10 μm | ~数 10 μm | ~300 μm |
測定領域 | Φ1~10 mm | ~□0.3 mm | ~□0.3 mm | ~□0.3 mm |
測定時間 | 極めて短い | 長い | 長い | 前処理含め長い |
感度 | 数 100 ppm | ppm | 数% | 数% |
操作性 | 容易(低真空のため) | 難(超高真空を要する) | 難(超高真空を要する) | 難(高真空を要する) |
特長 | 数 nm から100μm 超まで | 分解能が良い | 結合状態の分析も可能 | 断面状態を可視化できる |
SIMS測定との比較
Al基板を陽極酸化させ、表層から35nm付近に7nmのCr濃縮層を形成させた図1のような試料を、二次イオン質量分析装置(SIMS)とGD-Profiler2(GD-OES)で測定しました。
図2、図3の測定結果のように、GD-OESでもSIMSと同様にCrが濃縮したデプスプロファイルがシャープに得られています。
GD-OESは、超高真空を必要としない表面分析装置であり、約1μm/minという高速スパッタリングが可能なため、この結果を得るのに要した時間は10secでした。
このように、GD-Profiler2(GD-OES)では、迅速に表面分析/深さ方向元素分析を行うことができます。
EPMA測定との比較
図1のように、アルマイトのポーラスな層をCu・Niで封込処理した試料を、EPMAとGD-Profiler2(GD-OES)で測定しました。
図2、図3の測定結果のように、GD-OESでもEPMAと同様10μmといった厚い皮膜のデプスプロファイルが得られています。
GD-OESは、断面出し、樹脂包埋、研磨といった前処理なしで、このような皮膜の分析ができます。また、水素Hから測定できるため、炭素Cや窒素Nといった軽元素の測定も可能です。
このように、GD-Profiler2(GD-OES)では、前処理なしで表面分析/深さ方向元素分析を行うことができます。
GD-OESとXPSによる電磁鋼板の測定比較
モータに用いられている電磁鋼板の分析事例をご紹介します。このような電磁鋼板は有機物を含有したCr膜となっており、有機無機複合皮膜と言えます。このような皮膜をもつ試料を、光電子分光法:XPSとGD-OESで測定したところ、図1と図2のようにほぼ同じ結果が得られました。このように有機物を含有する皮膜系の試料でも、高周波法を用いたGD-OES法では、迅速に深さ方向元素分析を行うことができます。
マーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置(GDS)