
近赤外蛍光分光測定装置 SPEX Fluorolog-NIR
概要
モジュール型蛍光分光測定装置SPEX Fluorologは、コンポーネット組み立てによるカスタムメイド装置なので、紫外・可視域から、さらに近赤外域までの蛍光およびリン光の測定に対応できるように測定機能を拡張することができます。
ご予算、アプリケーションに最も適した分光器やNIR検出器を選択できるため、フレキシブルなシステム構築が可能です。
半導体特性を有する単層カーボンナノチューブの近赤外蛍光マッピング測定に、近赤外蛍光プローブの開発等幅広い分野でご使用いただいております。
特長
- 紫外・可視域〜近赤外域の幅広い蛍光及びリン光のスペクトル測定に対応できます。
- 測定感度、測定スピード、ご予算に応じて各種NIR検出器を選択できます。
お求めやすいNIRフォトダイオードタイプ〜より高速測定可能なInGaAsマルチアレイタイプ - 高感度、高速応答性が必要な測定には近赤外PMT(光電子増倍管)を搭載することも可能です。
(浜松フォトニクス製:H-9170 ペルチェ冷却タイプ/R5509 液体窒素ガス冷却タイプ) - NIR検出器に応じて発光側分光器のグレーティングを簡単に交換できるフレキシビリティを備えています。
- 液体窒素冷却型のNIRフォトダイオード検出器では、測定時間に応じて冷却デュワー瓶を3つのサイズ
(24時間対応/12時間対応/標準タイプ 4時間対応)からお選びいただけます。 - 3次元蛍光マッピングデータが簡単に得られます。
- 世界中の研究所に多くの納入実績があります。
アプリケーション
- SWCNTの近赤外蛍光の3次元マッピング測定
- 一重項酸素測定
- 希土類元素をつかった近赤外蛍光プロープの開発
- 有機化合物・無機化合物の特性評価
- 量子ドットの蛍光測定
蛍光分光測定によるカーボンナノチューブ構造の分析
要約
ナノ構造を持つ物質が発見されて以来、これらの物質特性の調査が相次いで行われている。特にカーボンナノチューブ(最大幅1.4 nm、最長100μm)は、分子ワイヤ、論理ゲート、ディスプレイ、ナノサイズの機械パーツなどの様々な用途への使用が期待されている。SPEX Fluorolog-3 は、カーボンナノチューブの構造に関する重要なデータを測定できる高信頼性の蛍光分光測定装置である。
実験
シングルウォールのナノチューブは、高圧CO (g)で生成され、D2O 中のドデシル硫酸ナトリウムミセル(20〜25g/mL)に懸濁した。励起側にダブルモノクロメーター、発光側にシングルモノクロメーター、液体窒素冷却の近赤外InGaAs 検出器からなるSPEX Fluorolog3-211を用いて測定を行った。マトリックススキャンを、励起波長範囲= 300〜930nm、発光波長範囲= 810〜1550nm(近赤外領域)、波長間隔= 3nm、スリット幅バンドパスでEx/Em 7nm/7nm の条件で行った。励起強度と装置レスポンスでデータの補正を行なった。
結果
蛍光マトリックスデータを図1に示す。
図1 励起・発光波長に対する蛍光発光強度(縦軸)のマトリックス
【図1】
励起・発光波長に対する蛍光発光強度(縦軸)のマトリックス
吸収値および発光値はナノチューブの構造によって異なる。六角網目状のグラフェン・シートの幾何学構造によればカーボンナノチューブは、チューブの長さとシートをロールアップするカイラル角αに基づく「ラッピング」ベクトルc = na1 + ma2 で表される整数(n, m)で分類される。
3でちょうど割り切れる(n-m)となる構造、すなわち(n-m)/3 mod 3 = 0 をみたす構造では、絶縁性がなく、非蛍光体となる。
図1 のデータを分析した結果、(n, m)値が(5, 4)から(15, 1)の範囲で分類される33 個の異なるナノチューブ種に対応する33 ケの個別のピークが認められた。ピーク値は、拡張型タイトバインディング・モデルの計算値と、ナノチューブのラマン散乱のラジアルブリージングモードの測定値との比較に基づいている。励起および発光の波長の変移は、ナノチューブの直径とリニアな相関関係を有する。(n-m)3/ mod 3 = 1 をみたすタイプではわずかに長めの波長を発し、(n-m)/3 mod 3 = 2 タイプではわずかに短めの波長を有する。
チューブのたわみ(さらにエクシトン効果)の影響が、予測される蛍光波長からのずれとなって観測された。蛍光強度が数ある特定のナノチューブ構造に一致すると仮定すると、発光強度は、ナノチューブの直径が0.93nm (0.6 〜 1.3nm の範囲)で、カイラル角が約30 度のときに最大となることがわかった。
結論
蛍光分光測定装置SPEX Fluorolog-3 による定常蛍光スペクトル測定は、様々な種のカーボンナノチューブのアイデンティティ(独自性)を決定づけるのに有効な方法である。蛍光分光測定装置 Fluorolog-3 は、基礎量子化学やマテリアル科学の研究において近赤外領域での蛍光測定に対応できる高感度と多機能性を備えている。
上記内容を更に詳しく解説したアプリケーションノート
「【No.27】蛍光分光測定によるカーボンナノチューブ構造の分析」
ダウンロードページ
Alcohl CCVD法により合成されたSWCNTの測定結果
(a) 近赤外蛍光分光
(b) カイラリティ分布
(資料ご提供:東京大学 丸山茂夫先生)
参考アプリケーションノート
Fluorescence Spectra from Carbon Nanotubes
カーボンナノチューブの測定の一例
(HORIBA JOBIN YVON Webサイト(米):アプリケーションノート)
【No.22】Near-IR Capability of the Fluorolog
近赤外測定を実現できる蛍光分光測定装置のご紹介。
【No.23】Singlet-Oxlygen Measurements using the Spex Fluorolog System
一重項酸素の蛍光分光測定
製品例
型式:FL3-111
近赤外(NIR)波長領域(固体InGaAs検出器を搭載した場合蛍光のみの測定に対応):800-1600nm
■型式FL3-111で測定したデータ
型式:FL3-1-TRIAX(SPEX Fluorolog-NIR変形バージョン)の例
A:近赤外(NIR)波長領域のPMTを搭載した場合蛍光及びリン光測定に対応):950-1700nm
特長:切り替えミラーにより検出器(紫外・可視域検出か近赤外域検出)を切換えることができます。近赤外検出器は選択可能です。
B:近赤外(NIR)波長領域(HORIBA JOBIN YVON製 InGaAsアレイ検出器Symphony IGA)を搭載した場合
InGaAsアレイ検出器により、スピーディな検出が可能になります。
測定例
SPEX Fluorolog-NIR(FL3-21+液体窒素冷却 NIR InGaAs アレイ検出器)で測定したSWCNTの近赤外発光スペクトル
SPEX Fluorolog-NIRで測定したSWCNTの近赤外蛍光3次元マッピングデータ
(上グラフ:発光スペクトル 下グラフ:励起スペクトル)
SPEX Fluorolog-NIR(NIR-PMTを使用)で測定したSWCNTの近赤外蛍光スペクトル
上記グラフの詳細は
『カーボンナノチューブの測定の一例』にて詳しく解説してあります。
*リンク先は英文サイトです。
製造会社: HORIBA Scientific
仕様
光源 | 450Wキセノンランプ or 近赤外ハロゲン・タングステンランプ <特別仕様> |
|---|---|
励起側分光器 | シングル分光器 or ダブル分光器 |
サンプル室 | 共焦点顕微鏡の拡張可能 <特別仕様> |
発光側分光器 | シングル分光器 or ダブル分光器 or 回転ターレット付きシングル分光器(2ポートタイプ) |
検出器 | NIRフォトダイオード検出器 or NIR-PMT or NIRアレイ検出器 他 |
紫外可視対応の検出器から近赤外対応の検出器への付け替え等も可能です。
ご相談ください。
詳細およびアプリケーションデータは、製品例をご覧ください。



