LMJは,フランスの原子力委員会(CEA)が,現在ボルドーで建設中の高エネルギーレーザ施設である。2008年の施設完成時には,240本のパルスレーザ光線を2mmのターゲットに集束させて,2MJのエネルギーを放出し,核融合に必要な高密・高圧・高温状態を作り出すことになっている。
LMJの独創性は,大型の回折光学コンポーネントを用いている点にある。これに匹敵しうるシステムは世界に1つだけあるが(アメリカカリフォルニア州のローレンスリバモア研究所にある国立点火実験施設(NIF)),こちらは古典的な屈折光学コンポーネントを使用している。

CEAとJYの科学者が緊密に協力しあった結果,このユニークなコンポーネント(400×400 mm2の集束グレーティング)の実現可能性が確認され,1999年にデモンストレーション用の試作品(8~12本の光線)の製造が開始された。

図2は,JYが製造したグレーティングのうちの2つ*1を,走査型電子顕微鏡(SEM)で拡大した断面図である。このホログラフィックグレーティング技術の飛躍的進歩は,(400×400mm2という市販品としては世界初のサイズに加えて)溝本数と高アスペクト比(幅約0.5μに対して深さ1~2μ)に負うところが大きい。

*1: 光路に沿って角振動数の比が1 : 3の2種類のグレーティングを使用。

1ωグレーティング
1ωグレーティング
3ωグレーティング
3ωグレーティング

図2 グレーティングのSEM拡大断面図