これらのシミュレーションソフトを用いて,LUREの第2世代のストレージリングSACOの新しいビームラインを開発した。このストレージリングは,1986年以来稼働しており,高出力であるが,ビームサイズが大きいため輝度が低く,床振動があるなど高分解能分光ビームラインには適していない。このビームラインでは,極紫外線(Extreme Ultra Violet:EUV)領域で高い性能を発揮するモノクロメータの実現に挑んだ。

本プロジェクトにおける設計前提条件は,エンドユーザ及びSACOの実験環境により決定された。モノクロメータは,30-250 nmの波長範囲で,分解能(λ/Δλ)が150,000以上でなければならない。この高い目標はシンクロトロン・ビームラインでは得られなかったが,波長を走査しない固定モノクロメータで達成できた。

30nm以上の波長では垂直入射の光学系を適用することができる。この波長では,材料によっては反射率が30%に近いものがあるからである。しかし,分光反射率が30%ということは,モノクロメータの効率を高く保つために,たくさんのデバイスを使う光学系は適用できないことを意味する。そこで,ローランド円を少し変形した配置(Eagle off plane)のシングル・オプティックス・モノクロメータを選択した。このモノクロメータでは,光の分散及び集光を行う光学素子は球面グレーティングだけである。ローランド円型の問題点は,球面グレーティングの焦点が波長走査中に移動することである。出口スリットの位置を一定に保つためには,走査中にグレーティングを平行移動することが必要になる。