カソードルミネッセンスの原理


数 kVから数10 kVに加速した電子を数 nmの大きさに絞り、試料上の所定の領域に照射した時この加速電子は、試料により非弾性散乱されてエネルギーを失いますが、エネルギーの一部は価電子帯の電子を伝導帯に励起して電子正孔対を生成します。(例えば5 kVの加速電子をGaNに照射した場合、結晶表面下の直径約250 nmの球状の領域に電子正孔対が生成されます。)電子と正孔は試料内を拡散し、ある位置で再結合を起こし、このときその遷移が直接型であれば光が放出されます。これをカソードルミネッセンス(CL)とよびます。光が生じる機構には結晶自身によるものと不純物や欠陥によるものとの2種類があります。発光は欠陥領域におけるバンド構造を反映しているため、発光強度やスペクトル形状から微小領域の物性が評価でき、強度分布像から結晶性の状態や不純物、欠陥の状態を評価することができます。

カソードルミネッセンスの原理図

 


カソードルミネッセンスでわかること


強度 結晶性、不純物濃度
波長 結晶構造、不純物準位/濃度、組成、応力
半値幅 結晶性

カソードルミネッセンスで観察できる試料


半導体、蛍光体などの発光特性、結晶欠陥等の材料解析や酸化物、誘電体材料の不純物測定に用いられます。

半導体 :GaAs,GaP,GaN,SiC,ダイヤモンド,混晶等
誘電体、セラミックス:ZnO,MgO,AlN,BaTiO3,SrTiO3,Al2O3
その他:生物,鉱物,ガラス,蛍光物質,無機,有機物質

カソードルミネッセンスで観察できる試料

装置構成図


電子線照射により発光した光を集光ミラーで集め、分光器に導入し、CCD/PMTを使って検出します。

装置構成図

カソードルミネッセンスの歴史

カソードルミネッセンス(以下CL)は、19世紀半ばに現象が確認され、CLを利用した物性研究が始まりました。CLは微弱光の為、当時の測定装置及び計測技術で観察できる範囲は限られていました。しかし、分光器、光学素子、検出器や計測技術の発達及び電子顕微鏡の出現など時代と共にCLの研究分野は急速に広まりました。1990年頃から分光計測用のCCDが、低価格化に伴い急速に普及し始め分光計測の分野で広く使われる様になりました。