これまでの「ふつう」が揺さぶられた、海外研修は新鮮な驚きの連続!

伊藤さんが海外研修制度を知ったのはいつ?

入社2年目ぐらいでした。英語が苦手だったので、簡単に行けるとは思わなかったけれど、せっかく制度があるのに、行かないのはもったいないという気持ちがムクムクと頭をもたげてきて、上司に「行きたい」という意志を伝えました。学生時代から、英語が話せるようになったらいいなとは思っていたけれど、このままでいたら、一生話せないだろうとも思っていた。僕の場合、海外に行って仕事で貢献するというより、英語を身につけたいという願望が勝ってました。

磯さんは元々、海外への興味が大きかったのですよね。

ほとんど記憶にはないのですが、父の仕事の関係で、2歳から4歳ぐらいまでアメリカに住んでいました。両親が聴いていた洋楽の影響も受けました。大学時代、研究室の半分は留学生で、日本語以外でコミュニケーションを取っていると、見えてくるものも違うと感じられて、こうした環境が重なって、知らず知らずに身についた人と違う部分というか、尖った部分をなくさないためにも、海外研修にはぜひ、行きたいと思ってました。


伊藤さんはブラジル、磯さんはフランス。どんな仕事に取り組んだのですか?

仕事場はブラジル最大の都市・サンパウロでした。これまで、ブラジルへは日本からサービスエンジニアが行ったことがなく、技術や情報があまりないので、日本の情報をブラジルで展開するというのが、僕の大きな役割でした。日本で仕事をするのと同じように、実際の修理やメンテナンスを、即戦力のようなカタチで行うわけです。また、ブラジルにはコンテナベンチという日本にはない製品があり、現地では、それが主力製品です。この製品を通して、日本とは違う分野の技術を吸収するというのも、もう一つの役割でした。ただ、実際に着任してみると、日本でやっている分野のメンテナンス状況が芳しくない。優先すべきは日本の技術を伝えることだと判断して、仕事の軸足をそちらにシフトしました。

僕は大阪での4年間、フランスで製造されている製品を担当していたので、現場をもっと知りたいと思い、フランスへの研修を希望しました。ちょっと専門的になりますが、ラマン分光装置という機械があって、それは組み立てから調整まで、すべてフランスで行っていました。入社以来ずっと、その機械に関わっていましたが、知れば知るほど奥が深く、わからないことがたくさんあったのです。僕が行った部署は、ラマン分光装置に関して、世界中の取りまとめ役をしていて、世界各国からの問い合わせは日常茶飯事。もちろん、修理依頼があれば直す。フランスでは修理現場に同行したり、見ること、聞くこと、新鮮な驚きでいっぱいでした。

フランスのどのあたり?

北部のリールという都市。高速列車・TGVでパリまで1時間、ロンドンまでは1時間20分ぐらい。ベルギーと国境を接していて、クルマなら5分で行けてしまう。ベルギーは税率が安いので、国境を越えてビールの買い出しに行っていました。滞在中の1年間に30回以上出かけて、酒屋の店員さんとはすっかり顔なじみになりましたね。

国をまたいで行く時って、パスポートは要らないの?

イギリスは必要だったけれど、フランス、ベルギー、オランダ、スペインなど、シェンゲン協定を結んでいる国同士だと、フリーパスでOK。あの感じはすごい新鮮でした。

公私ともに充実してたのですね。

そうですね。もう一つ、フランスの研究開発の実験拠点に赴任中の先輩からも、いろんなことを教わりました。例えば、海外研修といっても、出かけた先が何かを提供してくれるわけではない。自分がやってみたいこと、できることを意思表示して初めて、やることが生まれると―。それは海外研修に限ったことではなく、どこで仕事をしても大切なことだと、今、しみじみ感じています。


一日のタイムスケジュールは?

起床は6時前、朝ご飯を食べて、6時半には家を出て、1時間半ほどバスに乗り、始業時間の8時までに会社に入る。みんなが帰るのは、5時きっかり。周りはもう誰もいなくなるみたいな。帰りは、クルマで送ってくれる人がいたりしました。だから、アフターファイブをどう過ごすかは、とても大事な課題。僕はとりあえず、ジムを探しました。食事は高カロリーだし、運動しないとすぐ太ってしまうなと思って。1年間で10万円コースのゴールドメンバーになり、時間のあるときは、ずっと行っていました。

それで、そんな立派なガタイに?

そう。ジム以外でも現地のバスケットボールチームに入って、土曜日はクラブチームの体育館で練習や試合をしていましたね。その仲間とはけっこう仲良くなって、昼ご飯に行ったりとか。

僕は7時頃に起きて、朝ご飯を食べ、会社へは社用車で。20分ぐらいで着いたかな。そこで、みんなに「おはよう」って、ビズして回る。ほっぺたにチュッみたいな…。

会社内では英語が通じるのは一部で、ほとんどポルトガル語。とにかくみんなと仲良くなりたいと思って、毎朝、すべての人に挨拶に行くことを日課にしました。50人ぐらいの持ち場を回って「おはよう、元気。昨日は何をしていたの?」って。そのうち、出張で1週間ぐらい留守にして挨拶に行くと、みんな「サウダージ(Saudade)」って言ってくれた。「寂しかったよ」って。
目が合えば、挨拶、すごくわかる! 挨拶が人と人の距離を縮めるのは世界共通ですね。

僕は朝一番のメールチェックが終わったら、同僚に休憩に誘われ15分ぐらいバカ話を。席に戻って仕事をしたら、お昼休憩を1時間。夏場なんか、木陰のある広いスペースにテーブルを出して、あれこれ話をしながら、1時間ぐらいかけて昼ご飯。ワインが出てくることもある。4時になったらコーヒーブレイク。

休憩ばっかりやん。

これがふつう。