仕事もプライベートも心を全開 広がる人の輪が充実の毎日を連れてきた

着任する前に抱いていたイメージと、実際のギャップはあった?

ブラジルの人って、底抜けに明るくて、サンバを踊っていて、仕事はあまりしないんだろうなぁって思ってた。でも実際は、仕事に対してすごく真摯。サービスエンジニアの人たちはトラブルがあったら遅くまで取り組むなど、僕らと変わりませんね。ただプライベートを大事にするので、普段は5時になると即、帰る。当たり前のことなのだけれど

フランス人に対する僕のイメージは、話好きで、あんまり働かない。実際に行ってみても、話好きで、やたらと休憩している。でも、8割くらいのクオリティーまで持っていくスピードは半端じゃない。残り2割はふわっと仕上げて適当な感じ。すべて完璧に仕上げるという日本のやり方ではないけれど、それでもフランスは回っていると感じました。要領がいいというか、へんなところで悩んだり、考え込んだりしない。それぞれの役割分担がはっきりしていて、自分の守備範囲じゃなかったら、「俺は知らん」と突っ放される。プロ意識の高い人が多いというのが、率直な感想です。

ブラジル人はプライベートだけじゃなく、仕事のお客さんとの距離も近くて、何でもフランクに話すし、受け容れてくれる。みんな友だちなんです。出張に行っても、釣りに誘われたり、一緒に飲んだり、ホームパーティに呼ばれたり。どれだけ友だちになるのかが大事で、「お前のとこは他社より高いけど、友だちだから買うよ」というノリ。まさにアミーゴ(笑)。

フランスはそこまでではないけれど、ベースは共通していて、「どこまでこいつは信頼できるか!?」で回っている。結局、日本もそうなのだろうなって思います。今までそんなに意識はしていなかったけれど。それと日本よりずっとルールが少ない。例えば、終業時間も決まっていないし、自分の仕事が終わったら、帰る。自分の仕事をこなし、給料をもらい、有休なりの権利をちゃんと施行する。ルールありきの世界なので、ルールの範囲内では全く自由なんです。自分の役割をしっかり理解できていれば、すごくいい世界。

ブラジルでは、自分のひいきのサッカーチームを決めるのが大事。会話は「どこのチームを応援してる」から始まります。初対面で会う場合、ほとんど、このネタをふられますね。

相手のライバルチームを言ったら、まずい?

それはないみたい。みんな自分のチームに誇りを持っているから、相手がどこのチームを応援しようと、絶対揺るがない。僕は行った場所によって、口にするチーム名を変えいてましたけど(笑)。中田とか、本田とか、香川とか、日本のサッカー選手の名前もよく知っていましたよ。フランスもサッカー、結構、盛んでしょ。

好きな人はめっちゃ好き。毎週木曜日のお昼休みに、1時間半みっちりサッカーをする。しかも本気モードなんです。僕も参加したけれど、毎週やるのはギブアップでした。フランスってほんとに自由の国で、サッカーが話題にのぼっても、「知らん」って言ったら、「ふーん」で終わり。誰が、何を好きでもいいわけで。ただ、自分のことはちゃんと主張しますね。その割に相手の話はあんまり聞いてない。ディベート(討論)したら、ほぼ勝ち目はないと思います。

食事面などで困ったことはなかったですか?

夜はほとんど自炊をしていました。ブラジルの東洋人街に日本食専門のスーパーがあって、そこへ行けば、食材は何でも手に入るので、日本食をつくっていましたね。

僕も自分でつくることが多かった。住んでいたのは長期滞在用のホテルで、となりにカルフールという大きなスーパーがあって、そこに買い出しに行ってましたね。仕事は6時ぐらいに終わるので、時間はたっぷりある。パスタをはじめ、ラタトュイユやシチューをつくってみたり。現地の人にラーメンを食べさせたいと思って、マルちゃん正麺を取り寄せ、チャーシューもつくってふるまったけれど、あまり箸をつけてくれませんでした。結局、僕がいっぱい食べるはめになってしましました。

僕もよく外食につき合ったくれた同僚に、日本食をふるまいました。お好み焼きとか焼きそばが好評で、あと、鍋も喜んでくれましたよ。ブラジルは日本食大好きな人が多くて、2週間に1回は日本食レストランに行くという人も。だから期待して、日本食レストランに行ってみたら、寿司にジャムが載っていて、びっくりしました。

すごいアレンジだね。僕もスーパーで寿司を買ってみたけど、酢を入れただけの酢飯だから鼻についてまずいのなんの。みそ汁も最悪で、出汁ではなく湯に味噌を入れて混ぜて、はい出来上がり。日本に帰ってきてほっとしたのは、やっぱりご飯がおいしいこと。

向こうはお肉ばっかり。和食が世界遺産に登録された理由がよくわかりました。

ほかに、チャレンジしたことは?

9月から語学学校に通い始めて、イタリア人やフィリピン人の友だちができました。そこはリール大学の外国人留学生のためのフランス語講座で、イギリス人、インド人、中国人、韓国人、エジプト人、スペイン人など、人種のるつぼ。すごくおもしろかった。

授業は英語で?

フランス語をフランス語で教えるという、ダイレクトメソッド。60歳ぐらいのマリーという、すごく優しいけれど厳しい先生で、僕はもちろんできない人のグループに入れられて、発音したら「ノーン。全然なってない」ばかり。後半は仕事が忙しくなって休むことも多かったけれど、マリー先生はコースの修了証書を出してくれて、お別れの時はハグまでしてくれた。その証書は部屋に飾っていますよ。できれば、もう一度フランス語にトライしたいと思っています。

僕もポルトガル語の学校を探したんだけど、通えるエリアに学校がなくて。だから、もっぱらジム通いをしたり、現地のバスケットチームに入ったり。おかげで、友だちがいっぱいできました。

オフィスには同年代の人が3人ぐらいいたけれど、本格的に交流ができたのは、誰かの家に行って、飲んだり、ギターを弾いたりして遊ぶうち、いつの間にか人の輪も広がって、盛り上がるようになってから。僕は前半は結構ナーバスだったけれど、後半はかなりオープンマインドに。これも海外研修で得た大きな財産だと思います。