VOCモニターFV-250発売

|   ニュースリリース

環境計測機器を40年以上にわたり開発生産し、中でも自動車排ガス計測では世界8割と気体計測では業界をリードしている当社は、京都議定書発効にも呼応した国内の大気汚染防止法が改正され6月1日施行され新たな対象となる揮発性有機化合物(=VOC)を、屋内・屋外(現場)ともに使用できる可搬形で簡単操作でしかも測定時間が短いVOCモニター(FV-250)を開発。施行と同日の6月1日販売を開始します。

京都議定書での世界合意事項にも連動し、環境省は2010年までに、揮発性有機化合物(以下、VOC)の排出量を2000年に比べて3割削減することを目標とすることを決定。揮発性有機化合物(VOC)は代表的な大気汚染物質で、浮遊粒子状物質(以下、SPM)や光化学オキシダントの原因物質であることから、本年5月に大気汚染防止法が改正され、6月1日から施行。来年4月より、50トン/年レベルを排出する工場や事業所など(塗装関係、接着関係、印刷関係、化学製品製造関係、工業用洗浄関係、VOC貯蔵関係など9つの施設)にて測定の義務づけや、排出量の規制が施行されます。
VOCは代表的な大気汚染物質であり、SPMや光化学オキシダントの原因物質です。法規制と自主的取組の組み合わせ(ベストミックス法)を基本とし、既設の施設に係る排出基準の適用については、2009年末までの猶予期間が設定されているものです。

  • 開発の狙い
    ガス分析中でも赤外線や水素炎イオン化法といった、自動車排ガス分野で圧倒的な信頼性と性能を持つ当社が今回発売する可搬形VOCガス分析計の新製品(=FV-250)は、「環境への貢献」という価値をコンセプトに開発しました。「環境」をキーワ−ドに、京都議定書が象徴する地球温暖化防止のための「CO2削減の取り組み」というマクロ的な意味合いと、装置を実際に使い「作業する」というミクロ的な意味合いを包括して、社会にもユ−ザ−にも貢献できるという狙いをもっています。
    京都議定書が象徴する地球温暖化防止のための「CO2削減の取り組み」というマクロ的な意味合いのために意識したことは「消費電力」です。中央環境審議会大気環境部会の報告書では、VOCの測定方法として、NDIR(非分散型赤外線分析法)またはFID(水素炎イオン化法)を用いることが認められています。両方とも弊社が所有する技術でありましたが、より消費電力が少ないFID法を選択し、「消費電力 約50W」を実現しました。
    また、装置を実際に使い「作業する」というミクロ的な意味合いのために意識したことは、実際に装置を利用されるオペレ−タ−の「労働環境」です。対象ガスを捕集バックへ採取し、分析室へ持ち込み作業することもありますが、より作業効率をあげるためには、やはり装置を車載し、現場で測定する方が効率的です。その際、「移動する」という行動に対する利便性を考え、小型・軽量に努め、大きさ260(W)x260(H)x510(D)mm、重さ約10kgの装置設計を実現しました。
    さらに、「できるだけ短時間でたくさんの試料を計測できれば、計測以外の作業(例えばデ−タまとめなど)へ時間を割くことができ、顧客サービスの向上に対し、影ながら貢献することができる」という発想から、計測時間の短縮を意識し、「応答速度=2秒以下」の製品を作り上げることができました。
  • 顧客や市場にとってのメリット
    小型軽量:測定者の負荷/人員工数削減
    高速応答:作業時間の削減、工数削減
    省電力化:消費電力 約50W(CO2削減の取り組み)

 

参考資料

  • 主な特徴
  1. 省電力化
    「CO2削減の取り組み」を目指し、消費電力 約50Wのオペレ−ションを実現
  2. 小型のポ−タブルタイプ
    移動が楽なポータブルタイプ設計、測定室や移動測定車内への設置や移設が容易に行えます。オペレ−タの負荷/人員工数削減に貢献します。燃料ガス(水素)は、調圧器が不要なカ−トリッジ容器を採用、測定に場所もとらず、メンテナンスも安全に行えます。電源以外のユ−ティリティが不要なため、設置時のストレスが軽減できます。
  3. 高速応答
    「応答速度(T90)2.0秒以下」を実現、作業時間や工数の削減に貢献します。
  • 標準価格 250万円(標準仕様)
  • 販売目標台数:(初年度) 300台 / (次年度)400台
  • 主な仕様
    測定対象 揮発性有機化合物(VOC)
    測定範囲 0-10/20/50/100/200/500/1000/2000/5000/10000ppmC
    繰り返し性 フルスケ−ルの±1.0%
    直線性(指示誤差) フルスケ−ルの±1.0%
    測定原理 水素炎イオン化法
    応答速度(T90) 2.0秒以下
    試料ガス流量 約0.5l/min
    表示 測定値、グラフ、レンジ
    暖機時間 1時間
    外部出力 DC0-1V、RS-232C
    電源 AC100V, 50/60Hz
    外形寸法 260(W)x260(H)x510(D)mm
    質量 約10kg


《用語説明》

  • 浮遊粒子状物質
    発生源から排出された時点で粒子となっている一次粒子と、排出された時点ではガス状であるが、大気中における光化学反応などにより粒子化する二次粒子とに分類される。一次粒子には、工場・事業所から排出されるばいじん、粉じん、自動車等から排出される粒子状物質などがある。土壌の巻上げ粒子や海塩粒子など自然起源のものも含まれる。二次粒子は、工場・事業所、自動車などから排出されるVOC、硫黄酸化物、窒素酸化物などが原因物質となる。火山などから排出される硫黄酸化物など自然起源のものも考えられる。
  • 光化学オキシダント
    光化学オキシダントは、大気中のVOCと窒素酸化物の混合系が、太陽光(特に紫外線)照射による光化学反応を通じて生成される。
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