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OCTに適した分光器③ ~分光器の選定、性能のトレードオフ~

HORIBAでは各種カスタマイズ可能なSD-OCT向け分光器を提供しています。前ページで、SD-OCTとSS-OCTについて説明しました。 ここでは、SD-OCT向け分光器の選定のポイントについて説明します。

波長の選択

SD-OCTにとって分光器はキーコンポーネントの1つであり、測定対象に合わせて適切にカスタマイズする必要があります。 まず、波長帯域を選択します。OCTで使われる波長帯域は、可視域、800 nm、1000 nm、1300 nm帯などがありますが、測定対象の吸収や散乱、またはコンポーネントの入手しやすさに応じて選択する必要があります。 例えば眼底の検査では、水の吸収を避けるため比較的影響の小さい800 nmや1000 nmが主流になっています。

次に深さ分解能\(\delta_z\)と測定深さ\(Z_{max}\)を検討します。これらは主に、光源と分光器によって決定されます。光源の中心波長を\(\lambda_c\)、光源のFWHMを\(\Delta\lambda L\)、分光器の画素分解能を\(\delta_s\lambda\)(分光器の波長範囲\(\Delta\lambda_s\)÷検出器の画素数\(p\))、測定対象物の屈折率を\(n\)とすると下記のように表されます。

\(\beta_z=1/2In2\) * \(\lambda_c^2/\Delta\lambda L\)
\(Z_{max}=1/4n\) * \(\lambda_c^2/\delta_s\lambda=1/4n\) * \(\lambda_c^2/\delta_s\lambda\)

下図に中心波長ごとの深さ分解能と測定深さの例を示します。深さ分解能を小さくするためにはより広帯域な光源が必要になりますが、それに合わせた分光器は画素分解能が大きくなり測定深さは小さくなります。このように分解能と測定深さはトレードオフの関係にあります。

分光器は光源の波長域を全てカバーするだけでは不十分です。 例えば800-900 nmの帯域の光源を使う場合、同程度の帯域のみをカバーする分光器が必要です。代わりに同じセンサで700-1000 nmの分光器を使ったとすると、本来測定深さ3.7mm程度まで測定できるはずが、1.2 mmまで小さくなります。最大限性能を発揮させるためには、使用する光源に適切にカスタマイズされた分光器が必要になります。

Sensitivity

干渉信号の感度は深さに依存して小さくなります。これは、干渉スペクトルの再現性が悪くなるためです。干渉スペクトルは深くなるほど高い周波数になりますが、カメラのピクセルサイズと分光器の集光スポットサイズが有限のサイズを持つため深くなるほど再現性が悪くなり、信号強度を低下させます。 この感度と深さの関係R(z)は次の式で表せます。

\(R(z)=\frac{\mathrm \sin^2 \begin{bmatrix} D(z)\end{bmatrix}}{\mathrm D(z)^2}・exp \begin{bmatrix} - \frac{w^2}{2In2}\end{bmatrix}D(z)^2\)

wは波長分解能δrλと画素分解能δsλの比です。この式より、分光器の集光スポットサイズが画素の1倍と2倍の場合で感度の減衰をシミュレーションした例が下図になります。集光性能が感度に与える影響は大きいことが分かります。OCTに求められる分光器は一般的な分光器と異なり、画素サイズ以下まで光を絞ることのできる専用にカスタマイズされたものが必要になります。

wは波長分解能δrλと画素分解能δsλの比です。この式より、分光器の集光スポットサイズが画素の1倍と2倍の場合で感度の減衰をシミュレーションした例が下図になります。集光性能が感度に与える影響は大きいことが分かります。OCTに求められる分光器は一般的な分光器と異なり、画素サイズ以下まで光を絞ることのできる専用にカスタマイズされたものが必要になります。

OCT用分光器

OC-300
OC-300

OCT分光器

SD-OCT
SD-OCT

SD-OCT用分光器

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