モノクロノーターの光学特性において、分解能、スループットと並んで重要な性能は、迷光除去率であろう。迷光とは、グレーティングの回折式(式(1))で導かれる波長以外の光が出射されることで、迷光に気が付かず思わぬ失敗をするケースも多いようだ。

測定波長と異なる波長に極めて強い光がある場合には、遮光に対し注意深くなるが、平坦なスペクトルの測定では、気こ止めない測定者が多い。しかし、このような測定では単位当たりの波長からの迷光は少ないが、スペクトルの波長域が広いため、迷光はその積分となり、特に分解能を高く設定している場合には迷光が相対的に大きく影響する。またディテクターの波長感度特性などから、たまたま迷光となっている波長に高い感度がある場合、ミスを起こす原因になりやすい。

迷光の原因としては、多重回折やグレーティングによる迷光と、スリットのブレード形状や光学素子の汚れ、モノクロノーターの内部反射等が上げられる。多重回折とは、グレーティングで回折した光がコリメーティングミラーやフォーカシングミラーで反射した後、再びグレーティングへ戻り、回折を起こして出射スリットから出射するような場合である。これはモノクロメーターの設計により、ある程度防ぐことは可能だが、実際には、分解能やスループット等との兼ね合いで易しくはない。

次にグレーティングであるが、グレーティングはその製法上、ルーリングエンジンにより機械的に溝を作る機械切りグレーティング(Classically Ruled Grating)とレーザーの干渉縞を利用して溝を作るホログラフィック・グレーティング(Holographically Recorded Grating)とに分けられる。迷光に関しては、溝間隔の精度の高いホログラフィック・グレーティングの方が、通常一桁以上優れている。最近では,ブレーズド・ホログラフィック・グレーティングの出現で、9000Å以下の波長では、回折効率の劣性の問題もなくホログラフィック・グレーティングを利用することができるようになった。

迷光が問題となる場合、特殊な配置の光学系をとるモノクロメーターの使用や、フィルターの兼用、モノクロノーター内部の遮光板増設などの方法があるが、最も適用範岡が広い方法は、モノクロメーターを2段、3段と重ねたダブルモノクロメーター、トリプルモノクロメーターの使用であろう。これらのモノクロノーターの説明は、紙面の都合で別の機会にするが、迷光除去率などの性能をはじめ使い勝手などは機種によってかなり差があるので注意を要する。

おわりに

以上、一般的なモノクロノーターを使用するにあたって必要と思われることを中心に、モノタロメーターの光学的原理についてやさしく記したつもりである。これからモノクロメーターと付き合おうと考えている人に幾分なりの手引となれば幸いである。
(オプトロニクス No.75掲載)

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