中井 泉  Izumi Nakai 
東京理科大学  理学部 応用化学科 教授 理学博士
Readout No.33 August 2007


X線は、いろいろな電磁波の中でも波長が短くエネルギーが大きいため、原子の中の内殻電子と相互作用して特有の現象を示します。原子にX線を当てると、電子と原子核との結合エネルギーよりも大きなエネルギーのX線の場合、光電効果により電子が飛び出します。エネルギー的に最も深い内側のK殻の電子を飛び出させるにはエネルギーの大きなX線が必要で、電子が飛び出した不安定な状態が励起状態です。励起状態の原子は、電子の抜けた軌道に上の軌道から電子が落ちてエネルギーが余り、X線の発光が起こります(図1)。このX線のエネルギーは元素に固有で、蛍光X線と呼ばれます。物質にX線をあてると元素に固有のエネルギーの蛍光X線が発生することを利用して、物質の中に含まれている元素の種類や量を調べるのが蛍光X線分析です。

図1 蛍光X線及び可視光の発生(電子のエネルギーレベルと発光の模式図)

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物質の過去をX線で読む物質史