事業成長を果たしていくための原動力となるのは「人」の力。HORIBAでは、従業員すべてが会社の財産であると考え、「人財」と表現し、人に焦点をあてたさまざまな取り組みを推進しています。
今回はそのなかから、独自のボトムアップ活動である「ブラックジャックプロジェクト」について紹介します。
ブラックジャックプロジェクトが生まれたのは1997年のこと。「従業員の意識と行動の変革」を目的としてスタートしました。
トランプゲームのブラックジャックで最強のカードである「21」にちなみ、「21世紀に向けて最強の企業をめざす」というおもいがこめられています。
プロセス改善、人財育成、組織力強化など、従業員自らが疑問や課題に感じていることから自由にテーマを決めて改革にチャレンジするボトムアップの活動であり、社内では「ブラックジャック(BlackJack)」の頭文字をとって「BJ」の愛称でも親しまれています。「BJ活動をしたいのでぜひ協力してくれませんか?」といった呼びかけを通じ、部門、国境を越えてさまざまなメンバーが連携し合いながら進めていくことができます。
各取り組みのなかから優秀テーマを選出して月に1回報告を行う「Progress Review Meeting」には、毎回必ず経営トップが出席しています。従業員の報告に耳を傾け、活動に対する率直な疑問や意見交換が行われると同時に、経営層の視点から活動へのアドバイスがあり、報告者の活動を後押しします。
この取り組みには、堀場厚(会長兼グループCEO)が身をもって体験した「現場主義」が色濃く反映されています。自らも海外グループ会社のサービスエンジニアとしてキャリアをスタートさせた堀場は、グループ会社と本社の間で物理的な距離や地理環境、文化的背景による意識や感覚の違いから、問題の根源に対処するアプローチでの行き違いを数多く経験してきました。そうした経験から、経営者がしっかりと現場に入り込み、自身が見聞きした情報に基づいて意思決定をすることが重要であるという強い信念を持っています。
BJ活動を通じて従業員は社是「おもしろおかしく」を体現できるような成長を果たし、マネジメントは現場の最前線の動きを知ることで正しい経営判断に活かす―これまでに13,000件を超えるテーマ登録がされてきたBJは、HORIBAの成長に欠かすことのできない企業文化として28の国と地域に広がるHORIBAグループ各社でグローバルに定着しています。
サッカー日本代表の活躍に沸いたFIFAワールドカップ2022。世界屈指の選手が集い世界一をめざして闘うワールドカップにならい、ブラックジャックプロジェクトでは年に一度、各国の代表テーマのなかから最優秀賞を競う「BlackJack Award ワールドカップ」を2007年から開催しています。
各国での厳しい予選を経て出場する代表者は、グループ各社の経営トップが一堂に会した場でプレゼンテーションを行い、自らの率直なおもいを直接伝えます。2022年12月に開催されたワールドカップでは、「『はやぶさ2』が持ち帰った小惑星『リュウグウ』試料分析プロジェクトのPR」のテーマが、日本代表として5年ぶりの優勝を飾りました。
大会が終わった後には代表者同士が健闘をたたえ合い、交流を深めました。ワールドカップを通じて見ることのできた、それぞれの「新しい景色」を糧として、明日のHORIBAを担う人財が数多く育っていくことにもつながっています。