産総研との連携研究室「HIPAA」を紹介

2021年1月、つくばの国立研究開発法人産業技術総合研究所とHORIBAの連携研究室「堀場製作所-産総研 粒子計測連携研究ラボ (HIPAA:HORIBA Institute for Particle Analysis in AIST TSUKUBA)」が設立されました。現在HIPAAではHORIBAから3名が出向し、2テーマの研究に取り組んでいます。

 

 

HORIBA冠ラボ

国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研※1)では産学官連携をつなぐ「橋渡し」としての活動に注力されており、その一環として2016年度から、企業の研究を産総研のなかで実施する連携研究室(通称「冠ラボ」)の設置を推進されています。幅広い研究領域で多くの技術を扱っている産総研と企業の技術融合をはかり、企業のニーズにより特化した研究を実施して新しい技術の産業化の加速を図るものです。現在、産総研には15社の冠ラボがあり、それぞれのラボで16のテーマが研究されています。そのうちの1社としてHORIBAも冠ラボ「HIPAA」を立ち上げました。

   

左:連携研究室HIPAAのコンセプト
右:産総研内HIPAA事務所の表札

 
冠ラボへの期待、HORIBAの印象とHIPAAに期待すること
藤本 俊幸 
国立研究開発法人産業技術総合研究所 
計量標準総合センター研究戦略部長 兼 計量標準総合センター研究戦略部長

基礎研究は地味な努力の継続で誰の目もひかないものですが、ある時それが「発見」「発明」として、その価値が認知されるようになります。この段階で学術的にはとても価値があることですが、産業的な価値は未知数です。「発見」「発明」から生まれた研究の成果、技術をどうやって産業・商品化に結び付けるかが難しく、よく言われる「死の谷」や「ダーウィンの海」を越えていかないと産業・商品化に結び付きません。産総研で行われている研究は個々にとても価値のあるものだと自負しています。日々の研究は自分たちの刀を研ぐような地味な作業の連続です。これは一般論になりますが、研究職は自らが磨き上げた刀をどこでどう使うか、もし売るならばどこまで気を配らなければいけないかというセンスはあまり敏感ではありません。研究成果の社会実装に際しては、企業の方と一緒にやったほうが使い手にとっていいものができる、売れるものができると思っています。そこで産総研では冠ラボの設置を進めています。私たちが持つ幅広い科学分野の技術を有効に活用して、新たな価値を創造してもらえるのが「冠ラボ」です。冠ラボから生み出される技術の融合により、さまざまなイノベーションにつながることを期待しています。

HORIBA冠ラボ「HIPAA」はテーマの立ち上がりが早く、しっかり研究してもらっています。私が計測技術を研究していた当時、多くの分析機器メーカーが改造などの売上に直結しない研究者の要望を引き受けてくれていましたが、徐々に対応が消極的になりました。HORIBAは今でも積極的に受けてくれるフレキシビリティがあります。私たちの要求に対し、自分事として一緒になって追求しようという姿勢を感じます。そうした「おもしろおかしく」のスピリットが息づくHORIBAと産総研は相性が良いと思っており、冠ラボ設立をお声掛けしました。

HIPAAのある計量標準総合センターは国際相互承認を重要なファクターとして取り組んでいます。冠ラボでできあがった製品や計測技術の付加価値を高めるために、国際整合性を確認することや、それを担保するための標準物質なりのシステムをつくるということに対して産総研を積極的に活用していただければ、私たちもやりがいがあります。

 

スピード感のある研究活動をHIPAAから発信

連携研究ラボ長 舘野 宏志(㈱堀場製作所 アプリケーション開発部所属)

計量標準総合センターで初めての冠ラボということもあり、1月にスタートしたときはかなり手探り状態でしたが、HORIBAからの出向者と産総研メンバーの関係も良好で順調に研究を進めることができています。研究に没頭できる環境のなかで、社会実装・産業利用を強く意識したスピード感のある研究活動をめざします。また連携研究ラボにおける人材交流を通じて、外部に対しリーダーシップを発揮できる人財の育成にも取り組みます。

  

HIPAAでは若手研究員2名によって2テーマの研究に取り組んでいます
左:環境規制強化に対応する粒子数計測に関する開発 
右:遠心式ナノ粒子解析装置 ParticaCENTRIFUGE を用いたアプリケーション開発

 

※1 産総研
旧工業技術院内にあった15の研究所と計量教習所が2001年4月に統合・再編により誕生しました。現在全国11カ所に研究拠点をおき、七つの研究領域(エネルギー・環境、情報・人間工学、エレクトロニクス・製造、計量標準総合センター、生命工学、材料・化学、地質調査総合センター)にわたって、新技術の産業化に向けて多角的に研究されています。産総研の中核となる計量標準総合センターは国家計量標準機関としての役割を担っており、七つの基本量※2から構成されるSI単位系に立脚した計量標準の整備・維持・供給を行っています。国家標準の信頼性を高めるだけでなく、国際度量衡委員会と連携をはかりながら基本量の定義改定にも国際的に顕著な貢献をされています。

※2 七つの基本量
時間、長さ、質量、電流、熱力学温度、物質量及び光度について明確に定義された単位、秒(s)、メートル(m)、キログラム(kg)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd))

 

HORIBAから3名がHIPAAに出向し、研究活動に取り組んでいます。