東レリサーチセンターが当社のAFM-ラマンをもとに近接場ラマン顕微鏡法を開発

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株式会社東レリサーチセンター(所在地:東京都中央区日本橋本町一丁目1番1号、社長:川村邦昭 以下、東レリサーチセンター)は、当社のAFM-ラマンをもとに光学限界を超えた空間分解能を持つ新しい近接場ラマン顕微鏡法を開発しました。AFM-ラマンは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope : 以下、AFM)と顕微ラマン(Raman)分光測定装置の複合装置です。AFM-ラマンは当社が製作を行い、東レリサーチセンターが近接場光の発生源であるプローブ(*1)を開発しました。これにより、パワー半導体上の局所部における応力歪み解析が約250ナノメートルの空間分解能で行うことが可能となりました。東レリサーチセンターは本手法を用いた受託分析サービスを開始しました。
(*1)プローブ: 測定や実験などのために、試料に接触または挿入する針。

 

ラマン分光法とは、物質に光を照射したとき発生する照射光の波長と異なる散乱光を検出し、物質中の微細構造、応力、欠陥などの情報を得る分光分析手法です。また、顕微ラマン分光測定装置は、光学顕微鏡を試料室としたもので、観察像およびラマン分光測定の空間分解能は光の回折限界である約1μmが限界でした。一方、AFM-ラマンは、試料室にAFMを採用したもので、固体物質表面をナノメートルレベルで観察を行うことが可能です。今回開発した近接場ラマン顕微鏡法は、近接場光の発生源となるプローブを採用し、単結晶炭化シリコン(4H-SiC)上のシリコン酸化膜のパターン界面の測定において、顕微ラマン分光測定と比較しておよそ9倍近い引張り応力に相当するスペクトルピークのシフト量を検出しました。これは空間分解能の向上により、より局所的な情報が得られたことを示しています。本手法は、樹脂成型品や炭素材料、セラミックスなどの局所構造解析に有効であると考えられ、従来の顕微ラマンでは困難であったナノメートルレベルの分析に適用することが期待されます。


測定内容の詳細、東レリサーチセンターの受託分析サービスに関しましては、下記のページをご参照ください。
株式会社東レリサーチセンター プレスリリース