生産ラインや研究開発の分野で温度管理に最適な高精度の非接触放射温度計「IT-480シリーズ」を発売

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当社は、この度、生産ラインや研究開発時の温度管理に最適な非接触放射温度計「IT-480シリーズ」を開発しました。
本製品は、測定視野(測定径と距離)が異なる6種類をラインアップし、主に高精度な温度管理を求められる生産ラインや各種機械装置に組込む温度センサーとして、また、様々な研究開発の分野で課題解決の一助となります。
当社は、1987年より、放射温度計の開発を手がけてきました。当社のコア技術である赤外線センサーを応用し、お客様のニーズに応えながら高精度な温度計の開発をめざして製品を進化させてきました。その集大成が「IT-480」となります。
11月29日より国内販売を開始し、米国、欧州、アジアの各国へ順次販売していきます。

非接触放射温度計「IT-480シリーズ」

本製品は、11月29日より東京ビッグサイトで開催される「SCF2017/計測展2017TOKYO」に出展します。 

 

開発背景

昨今、各種工業を中心に、高精度な温度管理のニーズがますます増えてきています。特に半導体やフラットパネルディスプレイは、より細かく高精度(絶対精度や測定再現性など)に測定することが求められています。また、食や物流、防災、セキュリティといった分野でも安全安心のために温度情報が重要視されています。
温度測定の方法には、直接測定対象物に接触することで熱起電力や電気抵抗変化から温度を求める方法と測定対象物から放射される熱放射光を検出して温度を求める方法が一般的に使用されています。当社は、1984年に「IT-200」を製品化して以来、生産ラインなどで対象物から離れて測定ができる非接触の放射温度計を時代のニーズに応えながら開発してきました。
このような背景から、「IT-480」は、高精度な温度管理が求められる生産ラインの設備に固定し設置できることや、機械装置の内部へ組み込めるように小型軽量設計を行いました。

 

特徴

  • 周辺温度変化の影響を最小限に低減するセンサーを開発
    正確な温度を測定するための課題は、いかに周辺温度の影響を最小限にとどめるかによります。当社のサーモバイルセンサーを2重にする「ダブルパッケージ構造」(特許取得:5658059号)により、センサーチップ周辺の温度が均一化され、周辺温度の変化にすばやくなじむことで安定的な温度測定が可能になりました。
     
  • パソコンとの接続による温度データーの採取
    Windows® PC向けアプリケーションソフト「IT-480 Data Acquisition」(無償提供)を使用することで最大8台をUSBケーブルで接続でき、USBバスパワーで駆動することで、外部電源無しでリアルタイムに温度データーを屋内外で収録することができます。

 

IT-480シリーズの活用例

  1. 液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイは、微細な画素構成を作り込む露光工程において、大型のフォトマスク(*1)面内で温度差があると、パターンずれが発生するため、温度の均一性が重要とされています。実際の露光プロセスでは、熱処理後、十分な待ち時間を取って温度分布を許容範囲内に抑えてから、露光を行っています。ここで、フォトマスク面内の温度分布を精密に測定することで、露光工程の開始判断が可能となり、サイクルタイムを低減できます。
     
    フォトマスク(*1): 電子部品の製造工程で使用される回路パターンの原版をガラス、石英等に形成した透明な板
  2. 自動車開発用シャーシダイナモメーター(*2)では、自動車に様々な負荷をかけた状態で走行評価を行います。これによりタイヤがバーストするリスクがあり、タイヤ表面温度をリアルタイムでモニターする必要があります。車種によりタイヤサイズ、扁平率が異なるため、温度測定部位の特定を容易にかつ速やかに行う必要があります。このような現場で、小型で高精度のIT-480シリーズが生産性および品質向上に貢献します。 
    (*2)シャーシダイナモメーター:路面の代わりにローラーに駆動輸を載せて実車走行試験を行う装置

 

IT-480シリーズの主な仕様

 

 

関連情報

製品詳細:放射温度計 IT-480シリーズ