可搬型排ガス計測システム「MEXAcube」※1を発売

|   ニュースリリース

~「ラボもリアルワールド※2も」この1台で。9成分高精度測定を実現~

株式会社堀場製作所(京都市南区吉祥院宮の東町2、代表取締役社長 足立正之|以下、当社)は、可搬型排ガス計測システム「MEXAcube(メクサキューブ)」を12月17日に発売します。
「MEXAcube」は、2021年に開発したHORIBA独自の赤外線ガス分析技術である「IRLAM(アーラム)TM※3」を搭載した可搬型のエンジン排ガス測定装置です。消費電力を約80%削減※4した環境配慮製品であり、高濃度の水分を含む水素やアンモニアなどカーボンニュートラル燃料の排ガスにも対応することで、多様化が進む次世代モビリティ開発に貢献します。
当社では初めてとなるラボ設置用・車載用のいずれにも適応した製品で、Euro 7※5をはじめとする次期排ガス規制で新たに求められるアンモニア(NH3)、亜酸化窒素(N2O)、ホルムアルデヒド(HCHO)を含んだ9成分を本製品1台で高精度に測定することができます※6。さらに、路上走行時の排ガスを測定するRDE※7試験特有の過酷な環境変動にも対応できる高い信頼性も備えています。本製品は、RDE試験対応の車載用としてだけではなく、既設ラボに必要なエミッション設備を備えていないお客様のご要望にも幅広くお応えします。 
次世代モビリティ開発や次期排ガス規制などを背景に拡大する幅広い測定ニーズに高い製品力と多様な製品ラインアップで今後も応え続け、お客様が抱える課題に寄り添ったソリューションを提供してまいります。


開発の背景

地球温暖化をはじめとする気候変動問題は人類共通の課題であり、解決の鍵を握るカーボンニュートラル実現に向けて、各国でエネルギーシフトの動きが加速しています。
自動車産業に目を向けると、長期的には電動化や水素の活用が進むと考えられる一方で、社会インフラ整備にはまだ多くの時間を要することが見込まれます。そのため、アンモニアやバイオ燃料など代替燃料の開発も精力的に進められており、エネルギー・燃料の多様化に伴う開発要求の高まりや設備投資への課題が増加しています。また、内燃機関による大気汚染物質の排出は依然として重要な課題の一つであり、自動車の次期排ガス規制への関心があらためて高まっています。欧州で導入予定の排ガス規制Euro 7では、重量車におけるラボ・実路試験での新たな規制成分の追加・規制値の強化が予定されています。
HORIBAは1960年代にエンジン排ガス測定装置を発売して以来、地球環境の保全を使命の一つとして、常に排ガス測定技術の最前線に立ち、よりクリーンな自動車の研究開発に寄与してきました。
これらの背景から、次世代モビリティ開発の要求や最新規制に伴う測定ニーズに応えるため、新製品「MEXAcube」を開発しました。


製品特長

1、環境負荷低減と多様化する燃料への対応でカーボンニュートラル達成に貢献

自動車だけでなく船舶などの多様な次世代モビリティ開発における課題に応えるべく、排ガス中に水分を多く含む水素・アンモニア・バイオ燃料などのカーボンニュートラル燃料の高精度測定を実現しました。また、本製品は消費電力を約80%削減※4した環境配慮製品です。定期的に交換が必要だった部品を約3割削減※8し、環境負荷低減やコスト削減に貢献します。


2、ラボ設置用・車載用のいずれにも対応した可搬型装置

「MEXAcube」は、当社で初めてとなるラボ設置用・車載用のいずれにも適応した可搬型のエンジン排ガス測定装置で、測定対象となる車両やエンジンが置いてある場所まで持ち運ぶことが可能です。既設ラボに必要なエミッション設備を備えていないお客様のご要望にも幅広くお応えします。また、ラボ・実路ともに同じ製品を用いて測定することで、両試験でのデータの連続性が向上し、測定結果の比較も容易に行えます。


3、次期排ガス規制対象9成分の高精度測定を1台に集約

従来製品では、9成分を同時測定するには複数の装置が必要でしたが、「IRLAM」の搭載により1台で9成分の高精度測定が可能になりました※9。また、RDE試験特有の過酷な環境変動(高・低温、気圧変動、車体の振動など)に対応できる高い信頼性も備えています。欧州、中国で導入予定の次期排ガス規制で求められる新規制成分や低濃度ガスの測定に対応します。


4、搭載性・ユーザビリティの向上

・製品体積約86%※4、重量約82%を削減※4。測定成分数や精度は維持したまま、小型化を実現しました。
・配管・配線の本数を約50%削減※8。測定前の準備時間を大幅に短縮し、作業効率向上に貢献します。
・防水機能を新たに搭載し、雨天時の対策をする手間や時間を省きます。


製品仕様

名称可搬型排ガス計測システム「MEXAcube」
測定成分CO、CO2、 NO、NO2、N2O、NH3、HCHO、CH4、THC
外形寸法481 (W) x 631 (D) x 385 (H) mm
本体質量約44 kg
消費電力約650 W (周辺機器を含む)




※1 2025年3月に名称を変更しました
※2 実路など実使用環境で測定すること
※3 赤外レーザー吸収変調法(Infrared Laser Absorption Modulation)。IRLAMは、株式会社堀場製作所の日本及びその他の国における登録商標または商標です
※4 当社従来製品 エンジン排ガス測定装置「MEXA-ONEシリーズ」(ラボ設置型)との比較。使用方法や条件によって効果が異なる場合があります
※5 欧州連合(EU)の次期自動車排ガス規制(2026年に乗用車、2028年に商用車を対象に規制の適用が検討されている)
※6 使用方法や条件によって測定可能な範囲が異なる場合があります。
※7 Real Driving Emissionsの略称
※8 当社従来製品 車載型排ガス計測システム「OBS-ONEシリーズ」との比較。使用方法や条件によって効果が異なる場合があります
※9 全炭化水素(THC)の測定は、水素炎イオン化検出方式(FID)による

 

 

可搬型排ガス計測システム「MEXAcube」