ブラジルに新試薬工場用地を取得

|   ニュースリリース

臨床検査用試薬の生産能力を2倍に
経済成長による医療サービスの拡充に対応

当社グループのブラジル現地法人"ホリバABX社(ブラジル)(*1)"は、ブラジルのサンパウロ市近郊に1万平方メートルの工場用地(*2)を取得し、病院向けの臨床検査用試薬(*3)を製造する工場を建設します。現有工場の生産能力を2倍に増強し、地の利のよい新工場へ生産や営業・サービスのすべての機能を完全移管する方針です。

当社は1996年にフランスのABX社(現:ホリバABX社)(*4)を買収し、血球計数装置を柱に医用事業に本格的に参入。近年、自動車や半導体関連の事業に加え、医用は持続的に収益を支える事業として、フランスや中国に検査試薬の生産設備を増設するなど、積極的な投資を行ってきました。ブラジルでは1997年に補用品にあたる試薬の生産や営業・サービスをおこなう現地法人ABX(ブラジル)社(現:ホリバABX社(ブラジル))を設立。現在、主力製品の中型自動血球計数装置(*5)は同国のトップシェアで、臨床検査用試薬含め事業を拡大させています。今後、同国の生活が豊かになるとともに求められる医療サービスも多様化すると見込まれており、今以上の需要増加を見据えて、新たに工場を建設移転することで供給体制の強化を図る方針です。その為、この度移転新築し生産能力を増強するための土地を購入することになりました。また、大都市を結ぶ幹線道路へのアクセスがよい新工場用地の地の利を生かして、24時間対応や製品のメンテナンス講習などサービス体制を充実させます。

 

ブラジルの医療について

ブラジルには無料(薬剤費は自己負担)で医療サービスを受けられる公的医療保険がありますが、同保険の適用範囲は公立病院に限られています。一方、民間病院でも医療補償を受けられる民間医療保険の普及が進んでおり、同国最多の1700万人の加入者がいるサンパウロ州では、病院利用者が多く付加価値の高い医療サービスが提供されています。今後、高い経済成長が続くとされる同国では、生活水準向上とともに民間医療保険の加入率が高まることで病院利用者が増加すると見込まれています。当社はさらなる医療サービスに対する需要の高まりによる製品ニーズの増加を見据え、試薬供給とサービスの両面の体制強化を図ります。

 

用語解説

(*1)ホリバABX社(ブラジル)
1997年にABX社の子会社としてサンパウロ市に設立。同社は当社グループでは唯一の南米法人で医用事業を展開する。
[従業員:70名、試薬生産能力:2000トン、住所:ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロ市、責任者:ハミルトン・イバネス(2009年12月現在)]

(*2)新試薬工場用地
敷地面積:1万平方メートル、住所: ブラジル連邦共和国サンパウロ州ジュンディアイ市
Road Dom Gabriel Paulino Bueno Couto, km 67,7 City of Jundiai State of Sao Paulo  Brazil

(*3)臨床検査用試薬
血液を希釈する溶液や装置測定部を洗浄する溶液で、血液中の赤血球/白血球/血小板の数や種類を測定する際に使用される。携帯電話市場に例えるなら通話代に、コピー機であればトナーといった消耗品で、同分野売上の約6割を占める収益の柱。

(*4)ホリバABX社
1983年設立の血球計数装置メーカー。1987年当社との国内販売・製造ライセンス契約により血球計数装置の中・小型機種の技術リソースを提供。1996年に当社の子会社となり、現在では海外市場向けの医用事業において検査機器の製造販売に加え、試薬販売、サービスなど中心的な役割を担っている。
[従業員:750名、試薬生産能力:1万3000トン、住所:フランス共和国モンペリエ市、責任者:ベルトラン・ドゥ・カステルノー(2009年12月現在)]

(*5)中型血球計数装置
血液中の赤血球、白血球、血小板の数や種類を測定し、赤血球からは貧血、白血球からは感染の有無を診断する検査装置で一度に数十検体の検査が可能。欧州や北南米における医用事業の主力製品。