対象テーマは 「ライフサイエンス分野の分光分析・計測技術」
当社は、2003年に創設した研究奨励賞「堀場雅夫賞」の第17回となる本年度募集を、2月17日から開始します。今回の対象テーマは「ライフサイエンス分野の分光分析・計測技術」です。本賞は、毎年テーマを定め、多数の研究者の皆様から応募をいただき、その中から毎年3名の研究者を表彰しています。将来、分析・計測技術の発展に担い手となる方々の画期的でユニークな研究を支援することで、分析・計測技術の一助になればと願っています。当社の社是である「おもしろおかしく」を研究の場で実践されている研究者・技術者の積極的な応募を期待しています。
今回の募集対象
ライフサイエンス分野の分光分析・計測技術
ライフサイエンス分野の中でも特に、先端の創薬および製薬に寄与する分光分析・計測技術で、開発や生産プロセスの効率化に繋がり、産業応用が可能となる技術を対象とします。
生産プロセスの効率化や自動化に繋がる、計測およびプロセスコントロール手法に関する研究
蛋白質や細胞などの生産プロセスの効率化や自動化に繋がる、分光技術を用いた計測およびデータサイエンスを活用した新しいプロセスコントロール手法に関する研究。創薬分野における分光技術を用いた生体由来試料の分析手法に関する研究
先端創薬の飛躍的な進歩に繋がる技術で、特に細胞、微生物、細胞外微粒子を対象としたもののうち将来の産業化や生産プロセスでの活用・効率化を視野に入れた研究。
*マイクロ流体デバイスなどを用いた試料の前処理、データサイエンスを用いたデータ解析手法も対象とする。
応募要綱 | |
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応募資格 | 国内外の大学または公的試験研究機関に所属する方 |
募集分野 | ライフサイエンス分野の分光分析・計測技術 |
応募期間 | 2020年2月17日~5月15日 |
審査方法 | 審査委員会が応募書類に基づき実績と将来性を審議し決定 |
発表 | 7月末予定 |
賞の内容 | 受賞者には、賞状及び副賞を授与 |
授賞式および受賞記念セミナー | 2020年10月16日(金)に京都大学医学部創立百周年記念施設 芝蘭会館(京都市左京区吉田牛の宮11-1)にて実施します。(受賞者による講演やポスターセッションを通して、研究内容を広く社会にアピール) |
応募方法 | 応募書類など詳細は、本賞ホームページに掲載:http://www.mh-award.org/ |
応募・お問い合わせ先 | 〒601-8510 京都市南区吉祥院宮の東町2番地 株式会社堀場製作所内 堀場雅夫賞事務局 |
審査委員会 | |
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審査委員長 | 竹内 洋文 岐阜薬科大学 先進製薬プロセス工学研究室 特任教授 |
海外審査委員 | Jugen Pop(ユルゲン ポップ) Professor, Scientific Director Leibniz Institute of Photonic Technology (Leibniz IPHT) |
審査委員 | 伊吹 リン太 立命館大学 総合科学技術研究機構 客員教授 |
審査委員 | 津本 浩平 東京大学大学院 工学系研究科バイオエンジニアリング専攻 教授 |
審査委員 | 前川 真人 浜松医科大学 臨床検査医学講座 教授 |
審査委員 | 内ヶ島 美岐子 株式会社堀場製作所 医用事業本部 プロセス設計 Reagent チームリーダー |
審査委員 | 森村 皓之 |
アワードディレクター | 堀場 厚 株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO |
実行委員長 | 足立 正之 株式会社堀場製作所 代表取締役社長 |
ライフサイエンス分野の分光分析・計測技術
近年、従来の医薬品や治療では対応できない疾患への対応が社会的に強く求められています。このような社会的ニーズに応える取り組みは各国でなされており、我が国においても、健康・医療戦略を定め、医療分野の研究開発における司令塔として日本医療研究開発機構(AMED)を2015年に設立するなど、医療研究開発の基盤整備と推進のための政策を優先的に実施しています。
一方、技術の進歩によって医療現場では個別化医療などの新しい医療が実用化されつつあり、医療と創薬の融合が急速に進んでいます。この融合領域、すなわちモダリティ創薬の分野では、従来の低分子医薬品に加え、ペプチドをはじめとする中分子医薬品、核酸や蛋白質をベースとする高分子医薬品、細胞を用いる細胞医薬品、さらにはエクソソームなどの細胞外微粒子を利用した創薬の開発が活発になっています。多様化する研究対象に対応するため、この分野では、試料の前処理からデータ処理、さらに蓄積データの活用までを網羅した分析ソリューションが求められます。また、開発した医薬品を社会に届けるためには、生産プロセスの効率化や自動化が不可欠であり、プロセス全体を俯瞰して、どのような要素をモニタリングするべきか、得られたデータをどのように解析、蓄積、フィードバックするかなどの課題を解決していくことが重要となります。
本年の堀場雅夫賞では、このような背景のもと、ライフサイエンス分野の中でも特に、先端の創薬および製薬に寄与する分光分析・計測技術にスポットを当てます。
ご参考
賞の背景
創業者の堀場雅夫が学生ベンチャーの草分けとして興した当社の歴史は、国産初のガラス電極式pHメーターの開発から始まり、今日までその分析対象を液体・気体・固体分野へと拡大しながら、総合分析機器メーカーとしてグローバルに事業を拡大してきました。その発展を支えてきたものの一つに、創業当初からの大学や研究機関との連携があり、地道に基礎的な研究開発に取り組んできた研究者・技術者の努力が大きな原動力となっています。21世紀を迎え、分析・計測の重要性が社会的にも増してくる中、分析・計測技術の分野で、新たな起業・事業化の源となりうるアカデミックな研究・開発を支援するため、創業者の名前を冠した「堀場雅夫賞」を2003年に創設しました。
賞の趣旨
本賞は、画期的な分析・計測技術の創生が期待される研究開発に従事する国内外の研究者・技術者を支援し、科学技術における分析・計測技術の価値をより一層高めることを目的とします。毎年対象分野を定めることで、その成果や今後の発展性を世界的にアピールすべき研究・開発に焦点を当てていきます。基礎から応用まで、対象分野においてユニークな研究開発に「おもしろおかしく」従事され、将来の分析・計測技術発展の担い手となられる方々の積極的な応募を期待しています。
故・堀場 雅夫 (創業者)について
1945年10月、京都帝国大学(現京都大学)理学部在学中に、当社前身の堀場無線研究所を京都に創業。今で言う学生ベンチャーの草分けとして出発。学生時代の専攻は核物理で、大学教授であった父・信吉氏と同じく、卒業後は大学に残って研究者になる道を志していた。しかし、終戦と同時に米軍が、サイクロトロン破壊など原子核関係の研究・実験を禁止する措置を取り大学での研究を続けられなくなった。自由に実験や研究ができる私設研究所をつくろうと決心したのが創業のきっかけ。
1953年1月、株式会社に改組し社長に就任。堀場無線研究所時代に電解コンデンサーを開発し事業化を試みるが、朝鮮戦争のインフレのため計画は頓挫。代わりに、コンデンサー生産のために開発したpHメーターを商品として売り出し、現在の株式会社 堀場製作所を設立した。設立当時から大学との産学協同体制で、次々と新しいpHメーターを開発。現在までに至る事業の基盤を確立した。1978年、53歳で会長に就任。この時、人生哲学でもある「おもしろおかしく」を社是に制定。会長に就任後は、日本の中小企業、ベンチャー企業の支援や京都の活性化、また将来の社会を担う人材を育成するため、根本的な教育改革のためにも力を尽くした。なお、2006年3月、革新的で情熱的な起業家として世界各国の研究や業績を支援する製品をもって地球規模の計測機器ビジネスを創始した活動は、分析化学分野の発展への貢献大として、米国「Pittcon Hall of Fame」(分析化学界の殿堂入り)を、欧米人以外で初めて果たした。2015年7月に永眠(満90歳)。