測っちゃいました Vol.13 菜の花と菜種油

3月に差し掛かり、桜が咲くより少し前に、菜の花が黄色い花を咲かせています。菜の花はアブラナ科アブラナ属に分類される植物で、その花はどれも黄色く、似た形状をしています。 原種のアブラナは、江戸時代以前から野菜として栽培されるとともに、灯火用の油を取るためにも利用されてきました。一方で、変種には野菜として多くの種類があり、ミズナ、カブ、ノザワナ、コマツナ、チンゲンサイ、ハクサイ、ターサイなどが含まれ、これらすべてが原種のアブラナ(菜花)と同じ種(Brassica rapa)に分類されます。

菜の花の種子から抽出される油を、菜種油といいます。菜種油は必須脂肪酸を多く含み、食用油の中で最も飽和脂肪酸含有量が低いことで知られています。現在、菜種油の抽出には、一般的にセイヨウアブラナ(Brassica napus)という別の種が利用されています。野菜として栽培されている品種のアブラナは、花を咲かせる前に収穫されることが多いため、私たちが目にする黄色い菜の花のほとんどがセイヨウアブラナです。

原種のアブラナやセイヨウアブラナから抽出した菜種油には、エルカ酸(別名:エルシン酸、過剰摂取すると健康に影響のある不飽和脂肪酸の一つ)や、グルコシノレート(ほとんどのアブラナ目に含まれ、害虫や病害から自衛する成分)が多く含まれ、その2つの物質の含有量を抑えた改良種(キャノーラ種)が開発されています。グルコシノレートは硫黄の化合物で、原種から抽出した菜種油と改良種からの菜種油を比較したところ、原種の菜種油の方は硫黄含有量が多いことが明らかになりました。現在では、キャノーラ種が栽培されており、それらから抽出されるキャノーラ油は、健康リスクの軽減や食物油としての品質向上が期待されています。アブラナは、目的やニーズに合わせて品種改良が可能で、より健康的で高品質な品種が栽培されています。

 

<関連リンク>
Readout HORIBA Technical Reports September 2001 No.23 油中硫黄分析計SLFA-UV21
HORIBA:ぶんせきcafé『低硫黄燃料を分析する』