桜が咲き始め、お花見のシーズンになりました。お花見に参加される方の中には、桜の花よりも「お酒」が目当ての方も多いかもしれません。また、この時期になると歓送迎会などで、お酒を飲む機会が増えることと思います。
お酒とは、エチルアルコール(CH3CH2OH)を含んだ飲料の総称です。このエチルアルコールは、主に酵母などの菌の働きによる糖のアルコール発酵によって作られます。お酒を作るには、まず糖が必要です。ワインの原材料であるブドウの果実には糖が大量に含まれていますが、米・麦・芋などにはデンプンが多く含まれています。これらに含まれるデンプンを糖に変えるために、アミラーゼなどの酵素を含む麦芽や麹を使って糖化が行われます。こうして作り出された糖が、アルコール発酵によってエチルアルコールに変わり、お酒ができあがるのです。
お酒造りにおける主な化学反応は、デンプンの糖化と糖のアルコール発酵ですが、原材料に含まれる微量の有機酸や化合物が複雑に反応し、エステルやアルコール、その他の有機化合物を生成します。含有量はわずかですが、これらがお酒の香気成分となり、香りはもちろん味覚にも大きな影響を与えていると考えられています。お酒の香りや味覚成分については、古くから研究が行われており、それらがどのような化学物質なのか、ある程度解析が進んでいます。しかし、含有物質の個々の含有量測定よりも味や香りの総合的な官能評価が重視されるため、エチルアルコールの濃度以外の分析結果はあまり使われていないようです。
日本酒の赤外吸収スペクトルを測定すると、主成分であるエチルアルコールと水の赤外吸収ピークの他に、微量含有成分の吸収ピークが重なったスペクトルが得られます。しかし、この小さいピークの解析は困難で、その物性を明らかにする事はできませんでした。測定結果には再現性があるため、官能評価の参考データとして、赤外吸収スペクトルの測定結果が使用されることがあるようです。また、微量成分には独特の蛍光発光を持っているものもあり、含有量が微量でも感度良く測定できるため、今後の研究において注目されています。
<関連リンク>
Readout HORIBA Technical Reports September 2013 No.41 光測定を応用した液体計測機器
成分分析:分析装置ー堀場製作所
Spectrofluorometric Analysis for Wine Authentication and Blend Detection