業界初 食品工場の殺菌工程で“過酢酸”を自動モニタリング

|   ニュースリリース

食の安心・安全の管理体制の最適化に貢献
過酢酸濃度計「PM-960」を発売

当社は、業界で初めて食品工場で使用される全自動の食品充填機用過酢酸濃度計「PM-960」を7月1日に発売。当該製品は、食品充填装置や容器を殺菌する薬剤“過酢酸(*1)”を循環ラインで自動モニタリングでき、殺菌工程(*2)の省力化につながり、食品製造プロセスの効率化に貢献します。当社は水質計測事業で培った電気化学測定法を生かし、業界初*で食品に影響しない食品原材料の成分を採用したセンサーを開発。食品の安心・安全が求められる中で、食品工場では鮮度を長く保てる無菌充填方式(*3)が採用されており、無菌環境の維持に必要な薬剤管理に新計器を提供することで、安全管理体制の最適化に貢献します。

業界初*:内部液に食品添加物類を用いた食品プロセス用電極(2015年6月1日当社調べ)

 

食品工場の殺菌工程に関する動向

食品の殺菌は一般的に加熱殺菌が浸透していますが、近年は食品品質に対する要求の高まりを背景に、殺菌品質を保ちつつも過度の加熱を避けて食品の熱変質を抑制する技術などが普及しています。たとえば、内容物を充填する際に無菌環境のもと常温でも容器に充填できる方式を行われています。同方式により、充填後に容器を加熱しないため、耐熱が不要となり、薄くて軽いペットボトルを使用できるようになり、環境負荷や製造コストが低減する効果も得られています。

 

食品充填機用過酢酸濃度計「PM-960」について

食品製造プロセスでは、食品充填装置やペットボトルなどの殺菌工程で過熱を避けるため、殺菌薬剤の過酢酸が用いられます。過酢酸は循環して再利用され、時間と共に濃度が低下するため、定期的に濃度調整が行われます。従来は、過酢酸溶液を滴定装置によって濃度測定が手作業で行われていました。当該製品は、隔膜式電気化学測定法を用いたセンサーを、過酢酸溶液に浸すことで24時間リアルタイムに濃度を計測できます。そのため、濃度管理と濃度調整の自動化システム構築による省力化にもつながると期待されています。当該製品は、センサーの内部液の主成分に食品原材料にも使用される成分を採用するなど、内部液の成分構成や計測手法を見直すことで、食品製造プロセスに影響しない業界初の過酢酸濃度計を開発しました。

 

食品充填機用過酢酸濃度計「PM-960」の主な特長

  1. 業界初、食品製造プロセス用の過酢酸濃度計
    食品原材料にも用いられる材料を採用し、食品製造プロセス向けでも安心安全を提供。
  2. 手のひらサイズで、食品充填機に組み込み可能
    既存の食品充填機に搭載でき、安定した連続モニタリングを提供

 

主な仕様

外形寸法96(W)×115(D)×96(H) mm (変換器)
測定項目(測定範囲)100~4,000ppm

 

希望販売価格

120万円〜 (本体+センサー/税込み)

 

販売目標台数

2015年 20台 2017年 70台

 

開発者コメント

過酢酸濃度計の開発で多くの苦難を体験しました。プラントメーカーの方と協力して進めることでお客様の要求と現場の常識を知り、課題を一つ一つ解決してきました。また、計測器が持つべき機能や耐久性を体感でき、堅牢なセンサーの開発に注力することで需要に応える製品を実現しました。今後も液体計測のコア技術を活かした提案ができる開発を進めていきます。

 

用語解説

(*1)過酢酸
広範な細菌に対して有効で、毒性成分の残留がない殺菌剤、消毒剤として有用とされる。加熱殺菌を伴わない、製造装置、環境並びに容器包装等の殺菌・消毒剤で使用される。

(*2)殺菌工程
殺菌用薬剤を用いて食品充填機やペットボトル、紙パックなどすすぐ工程。

(*3)無菌充填
高温・短時間で殺菌した内容物を冷却し、あらかじめ殺菌した容器に無菌室で充填する。飲料を常温で充填できるので耐熱が不要となり、薄くて軽いボトルを使えるようになった。

製品詳細:食品充填機用過酢酸濃度計「PM-960」