シェールオイル対応機種/測定レンジ2倍で高濃度分析可能

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現場に運んで測れる小型の硫黄分析装置を9月4日発売
硫黄成分由来の大気汚染物質の抑制ニーズに対応

                   
当社は、有害ガスに変質する不純物で重油/ガソリン/軽油などに含まれる硫黄の濃度を測定する、“持ち運べる硫黄分析装置”の新型「SLFA-60」を9月4日に発売。ポスト原油と注目されているシェールオイルは、硫黄を含む不純物が高濃度の場合があります。石油製品の品質管理に使われる硫黄分析装置の測定範囲を、従来製品比2倍に拡大し、在来型石油とシェールオイルの両方に対応します。小型・可搬という特長から、採掘現場やプラントなどのオンサイト分析を提案し、資源開発や石油製品の品質管理の効率化に貢献します。

原油には硫黄などの不純物が含まれており、硫黄成分が残った石油製品からは、大気汚染や酸性雨を引き起こす有害な硫黄酸化物(SOX)が発生します。そのため石油精製プロセスでは、触媒を使って硫黄成分を低減させる処理(脱硫)を施し硫黄濃度を管理しています。
当社は、40年以上前にX線を利用した硫黄濃度の分析装置を発売し、これまで石油精製品の品質管理用に、国内トップの累計1,000台以上の販売実績を持っています。

今、シェールオイルが、石油の代替エネルギーとして世界中で注目されています。アメリカ、ロシア、中国を筆頭に、中近東やアジアにおいても豊富な埋蔵量があるとして調査が進んでいますが、地層に含まれる硫黄をはじめとする不純物が原油よりも多く含まれる場合もあり、石油精製プラント向けよりも高濃度をカバーする測定装置の需要増を予想しています。

今回の新製品は、石油精製品向けの従来機種に比べて測定レンジを高濃度側に2倍に拡大。これからの新エネルギーと期待されるシェールオイルの精製管理に対応し、かつ採掘や石油貯蔵など石油産業の上流プロセスでも活用できます。
石油化学プラントでは、低濃度領域を高精度に分析する大型装置が主流とされるなかで、小型・ワイドレンジが特長で現場での多点分析を提案する製品です。また、従来比1.7倍の5.7型カラー液晶モニターを採用し、屋外での使用を想定して測定値の視認性を高めました。そして、測定したその場で分析データを印字できるプリンター機能も内蔵することで、実験室だけでなく採掘や石油プラントの現場で、硫黄濃度管理から分析データの記録まで完結します。
従来の販売先の欧米をはじめ、新しい硫黄分析の需要が拡大しているアジアを中心とした世界40カ国以上で本新製品を投入します。海外子会社の販路拡大を通じて、シェールオイル産業やエネルギー資源開発の現場ニーズに迅速対応することで販売強化を図ります。

 

主な特長

  1. シェールオイルなどの高濃度分析に対応/従来比2倍の測定レンジ
    精製前の在来型石油やシェールオイルは、採掘する場所や地層によって不純物の量が変化します。資源開発が増加するなかで、硫黄濃度が5%を超える資源の分析ニーズに対応します。
  2. 現場まで持ち運べる硫黄分析装置
    心臓部の光学系の機構設計で、特許を取得する技術を用いた独自構造を採用しました。
  3. 油に強い安心構造のシートキーを採用
    ボタン操作部に樹脂性のシートを採用。油の付着による装置本体への影響を防ぐと同時に、入力動作がスムーズで操作性を高めます。

 

測定原理:蛍光X線方式について

資料にX線を照射することで発生する硫黄の蛍光X線のエネルギーを検出することで、含まれる硫黄成分の濃度を分析する。

 

主な仕様

外形寸法230(W)×400(D)×140(H)
質量9キログラム
測定対象重油、灯油、軽油、ガソリンなどの石油製品中の硫黄
測定範囲硫黄(S) 0~9.9999%
測定原理蛍光X線分析法
測定時間最速モード 10秒/高精度モード 600秒

 

希望販売価格

304万5,000円(税込)(標準タイプ)

 

用語解説

  • シェールオイル
    油を含む粘土質の層状岩である油母頁岩、油頁岩から抽出した頁岩油のこと。油母頁岩、油頁岩か乾留によって天然の石油と同じ性質の油分が留出できる。埋蔵量ではロシア、アメリカ、中国などで米国やカナダで盛んに生産されるようになっている。
  • 硫黄酸化物
    石炭や石油は多量の硫黄化合物を含んでおり、この硫黄化合物が燃焼することで発生する。二酸化硫黄は二酸化窒素などの存在下で酸化され硫酸となり、酸性雨の原因となる。