カソードルミネッセンス測定装置「HORIBA CLUEシリーズ」を発売

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次世代型パワーデバイス材料の研究開発に貢献

当社は、電子顕微鏡に搭載し、分析対象の電気特性や結晶性などを解析するカソードルミネッセンス(以下、CL) (*1)測定装置 「HORIBA CLUEシリーズ」の4モデル(i-CLUE/ F-CLUE/ H-CLUE/ R-CLUE)を発売します。材料の結晶欠陥分布測定が可能なi-CLUE、スペクトル測定により不純物や結晶欠陥の種類が解析可能なF-CLUE/ H-CLUEなど、次世代型パワーデバイス(電力用半導体素子)向け材料である化合物半導体の研究開発に幅広く貢献します。
さらに、R-CLUEは、ラマン分光分析機能も搭載しており、電子顕微鏡像観察と同時に有機物・無機物の化学組成・分子構造解析が可能になりました。
本製品は、9月6日から8日に開催のJASIS2017(幕張メッセ)に初出品します。
 

パワーデバイスの必要性とその課題

パワーデバイス(電力用半導体素子)は、自然エネルギー発電における効率的な蓄電制御や電気自動車や新幹線などの電動化モビリティの動力制御に用いられており、近年その需要は増加傾向にあります。より小型で軽量化、耐熱性の高いパワーデバイスの実現が求められており、現在のシリコンに比べて耐熱性に優れ小型化が見込めるGaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)といった化合物半導体を使った基板が注目されています。一方、結晶欠陥の少ない高品質なウエハの量産が課題であり、より詳細な欠陥評価結果を結晶成長プロセスにフィードバックすることでウエハ製造プロセスの最適化をする必要があります。
カソードルミネッセンス(CL)は、電子線を物質に照射することにより、その材料のバンドギャップ(*2)に相当する波長の光が発生する現象であり、その光を測定することで、その物質の電気特性、結晶特性をナノレベルで評価することができます。バンドギャップの評価は半導体特性の評価として非常に重要であり、特に高絶縁を求められるパワーデバイス向け材料であるSiCやGaNなどの化合物半導体の特性評価として注目を集めています。
 

「HORIBA CLUE シリーズ」の特長

  1. 汎用型走査電子顕微鏡から透過型電子顕微鏡まで様々な電子顕微鏡に対応し、幅広いラインアップでCL測定のニーズに応えることが可能。
  2.  高効率な集光ユニットとホリバ・フランス社(旧ホリバ・ジョバンイボン社(*3)1997年に買収)の世界で優れた実績を持つ分光器を搭載し、高感度・高精度なCL測定が可能。
  3.  当社のラマン分光分析装置(*4)のノウハウを詰め込んだソフトウェアと統合することで、スペクトル解析/ 画像解析機能など様々な機能が向上。

 
各モデルの説明

i-CLUE



発光分布イメージング専用機。
簡易CL測定により、材料の結晶欠陥分布測定が可能。

F-CLUE

発光分布イメージングと分光機能(スペクトル測定機能)を併せ持つ標準機。
スペクトル測定により、不純物や結晶欠陥の種類が解析可能。
ファイバーを使用することにより自由度の高い設置が可能。

H-CLUE


ファイバーを使用せず電子顕微鏡に直接接続することで検出感度の高い測定を実現。

R-CLUE

ラマン分光分析機能を搭載することで、電子顕微鏡像観察と同時にラマン分光分析が可能となり、有機・無機物質の化学組成や分子構造などの特性評価が可能。
 

■HORIBA CLUEシリーズ発売予定時期 : 2017年9月
 

今後のビジネス展開

汎用型走査電子顕微鏡から透過型電子顕微鏡まで、幅広い電子顕微鏡に搭載が可能であるため、低消費電力高輝度LEDやディスプレー用量子ドット蛍光体といった次世代発光デバイスや、発光材料の分野における研究開発・品質管理の効率化や高分解能の分光分析が必要な鉱物研究、レアアースといった希少資源探査の分野においても貢献することが可能です。

分析分野ではアジア最大規模の展示会「JASIS 2017(9月6日~8日、千葉県 幕張メッセにて開催)」で紹介を行い、化合物半導体分野への展開だけでなく、マーケットを広げることをめざします。
 

用語解説

(*1)カソードルミネッセンス:電子線を物質に照射することにより、光が発生する現象。その光を捉えることで、その物質の電気特性、結晶特性を評価することができる。

(*2)バンドギャップ:結晶中の電子エネルギー準位の構造において、電子が存在できない領域全般。

(*3)ジョバンイボン社:ジョバンイボン社は1819年に世界最古の光学装置メーカーMaison Laurent社を前身として始まりました。以来、グレーティング(回折格子)分野におけるパイオニアとして約200年の長きにわたり蓄積した世界トップレベルの分光分析技術は、様々な分野で活用されています。

(*4)ラマン分光分析装置:光を物質に照射することにより発生する散乱光から分子構造や化学組成の解析を行う装置。

関連情報

JASIS2017(第6回)